【鬼滅の刃】兄様、兄上、お助けくださいっ！！【継国兄弟】

雨宿り ページ8

奥方様は私達の掌に懐紙を持たせ、その上に小さな菓子をひとつずつ乗せた。

「この雨は夕立といって、今日の様な夏の日の夕暮れ時によく起こるものです。すぐに止みますから、それまで此処で、これをこっそりお食べなさい」

優しく微笑む奥方様に、兄様が顔を輝かせて礼を言った。

「わぁ、有難うございます！！ ……よかったな！」

兄上は相変わらず黙っていて、ぼんやりと頂いたお菓子を眺めている。

私も深々と頭を下げてお礼を言い、三人で奥方様を囲む様にして座った。

いろんなお話を聴かせてもらい、私は一所懸命にそれらのお話の情景を頭の中で想像しながら、優しい奥方様のお声に聴き入っていた。

しばらくすると雨が止み、空に虹がかかった。

雲の隙間から、眩しい太陽が顔を覗かせている。


「巌勝、縁壱、そしてA」

一人ひとりの顔を見て、あの日奥方様が仰った言葉を、私は絶対に忘れないであろう。



「貴方達もこれから、大きくなっていろいろな事を経験していくのでしょう。

……もちろん、楽しいことや嬉しいことだけではなく、辛いことや苦しいことも………今だって沢山ありますね。

しかし、どんなに激しい雨が降ろうとも、どんなにけたたましい雷が落ちてこようとも、真っ黒な雲の向こう側には必ず、お天道様が見守っていてくださるのです。

だから、いつでもどんな時でも、自分を信じ、愛する人を信じて、挫けずに精進していくのですよ。

貴方達きょうだいは、互いを支え合う為に生まれて来てくれた、私の大切な大切な宝物なのですから」



晴れ渡った空にかかる虹は、こどもたちの目に、何処までも美しく写った。

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