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第九話 ページ9

『奴』の力を超える事。

それさえ叶えば、他には何も要らない。

家を捨て妻子を捨て、人間である事を捨て………。
それでも尚、奴には届かぬというのか?

否。

俺はこの血で、あの御技をも超える力を手に入れてみせる。

Aという娘の血を飲んだあの夜から、そんな予感がしているのだ。
技の精度から回復力に於いて、全てが飛躍的に向上しているからであろう。

たったあれだけの量で、これ程の力になるとは思わなかった。


だからこそ私は、その娘……稀血のAを従わせ、少しずつ血肉を身体に取り込もうと目論んだ。

ある女を一心に追い求めた事など無かった俺が、血を求め、肉を求めてAに目星をつけた。

たったそれだけの事でも、
「面白い話だ、良ければ自分にも分けてくれ」などと抜かす厚かましい輩が居るから困ったものだ。


私は無惨様以外の者に分けてやるつもりは無い。

アレは今までに出会ったどの稀血の者よりも恐ろしく強い力を内に秘めている。
上弦の鬼といえども、容易く口にして良いモノでは無い。それ位に俺は恐ろしく感じていた。

一度手を出したなら最後、一滴残さず喰べ尽くしてしまうまで、この身体が満たされる事は有り得無いのであろう。

しかし、あの小さな身体でも、ひとときに吸収しようとすれば、血の強さに耐えられず細胞が崩れるのだ。

首筋からは逸らした所……肩から吸い取った血の量は大した事は無かったが、しかしあれだけで香りが染み付き取れずにいる。

他の鬼達の中には、私に近付くだけで酔う者も居た。

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- 作者様の前作から来ました!控えめに言って最高です。好き。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年11月9日 21時) (レス) id: 41175d901c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年7月13日 4時

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