藤ノ花ヲ食ベテ【鬼滅の刃】 (ページ36)

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オ館様ノ屋敷ページ36

太陽が沈んだ時間

梟の鳴く声や草木の音がとても不気味に聞こえる丑三つ時

体を震わせながらも木箱の中でお館様のお屋敷に着くまで待つ

うとうとと船を漕ぎながら

しかし限界がきてしまったのだろう

途中からは何も覚えていなかった

いつの間にか私はお館様のお屋敷にいたために一瞬驚いたけれど運んでくださった隠の皆様に心から感謝した

そしてカチャリという音が聞こえたため木箱の扉を開けて外に出る

そこに居たのはあまね様

『あまね様、ありがとうございます』

「いえ。長い時間気箱の中にいてお疲れになったでしょう
少し体を休ませてから耀哉様の元へ行きましょうか」

『ご配慮ありがとうございます』

あまね様の配慮のもとまずは体を休ませてからということで夜が開けるまで体を休ませた

睡眠をとり、朝餉の藤の花を食べる

今日も藤の花はとても美味しい

そういえばずっと小さいままだったな、と思い巾着袋の中に入っている藤の花をもう一つ口に含み栄養を吸収する

そして体を本来の大きさに戻したところで襖の外からあまね様の声が聞こえた

「A様、そろそろ会いに行きましょう」

『はい』

襖を開いてあまね様の姿を確認するとその後ろをついて歩く

そして一つの部屋の前で止まるとあまね様は一度頭を下げ、どこかへ行ってしまわれた

あまね様も一緒だと思っていたから少しだけ気持ちが落ち込んだ

けれどすぐに切り替えて部屋の前で声をかける

『お館様、Aです』

「ああ、Aか。入っていいよ」

お館様の優しい声が聞こえ、襖をゆっくり開けて中に入る

するとそこには六ヶ月前よりも病が進行しているお館様と御息女のお二人がいた

『お久しぶりです、お館様』