藤ノ花ヲ食ベテ【鬼滅の刃】 (ページ25)

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・ side 杏寿郎ページ25

腕の中にいる鬼の事を見ていると向こうもこちらに目を向けた

しかし素早く目を逸らされた

うむ、中々に愛らしい顔立ちをしているが殺さない理由にはなり得ない

すると鬼は恐る恐るというように俺の名を呼ぶ

『あ、あの…煉獄様…』

「どうした！」

『どうして私抱きしめられてるんですか…このまま絞め殺されますか…』

「そんなことはしないぞ
してしまったら胡蝶が怖いからな！」

やはり胡蝶の殺気がいつも以上に恐ろしい

そんなにこの鬼に魅力があるのだろうか

確かに先程から何人もの柱が絆されているが、今後人を食べない保証など出来ないだろう

藤の花では足りずに人を襲うこともありえる

完全に信頼するには値しない

しかし…先程から俺達と居ても襲う気配は見せない

何とも悩ましいな…

人の血肉や鬼が嫌いだと言っていたが、それも本当かどうか

いや、しかし弟である千寿郎と同じように妹の様な感覚がある

『あの、降ろして下さい…』

「嫌だな！妹が出来たようで愛らしいんだ、離すことは出来ないぞ！」

ぷるぷると体を震わせながら言葉を発するも俺の言葉を聞いて納得出来ないような、そして頬を膨らませて俺の胸に体を預けた

よもや…絆された奴らの気持ちが分かったかもしれない

これは言動ひとつひとつに庇護欲が湧くようだ

愛らしいが、それだけで留まるものではない

『煉獄様は、お強いです。絶対に…死なないで下さいね』

「……絶対とは言いきれんがな！A少女が言うのならば出来る限りは善処しよう！」

ぽつりと呟かれた声は酷く震えていた

たった少し触れ合っただけでここまで心配されるとは…

それだけ俺や他の者達のことを心配してくれているのは分かる

だが、人間である俺達に鬼がここまで情を見せてくるとは…

不思議な気持ちになるな

鬼に心配されるのは