藤ノ花ヲ食ベテ【鬼滅の刃】 (ページ21)

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・ side 小芭内ページ21

じー、とでも音がつきそうな程に先程から見られている

「おい、さっきからなんだ」

そう言っても見ることはやめないこの鬼に心底腹が立つ

喋れないわけでもないだろうに

「何も言えない訳でもないだろう
黙っていないで喋れ、鬼」

『見てるのは伊黒様じゃなくてその蛇様です』

やっと話したかと思えば見ていたのは鏑丸らしい

少ししょんぼりとした気配を漂わせながらも鏑丸を見ることはやめない

「……触りたいのか」

そう、言葉に出していた

心做しかその鬼も鏑丸も表情が輝いた様に見えた

その鬼は分かるとして何故鏑丸まで…

鬼が俺の言葉に何度も頷くのを見て抱き上げる

甘露寺からは歓声と言うのか、悲鳴と言うのか…どちらともとれない声が聞こえたが…

そして鬼と鏑丸の様子を見ていると鏑丸の方から近づいて行っていた

普段甘露寺以外には懐く素振り(そぶり)も見せないのだがな…

近づいてきた鏑丸にゆっくりと手を伸ばし人差し指で優しく撫でる鬼を見て、ただ単純に可愛いと思った

甘露寺以外で思うことなど無かったのに

それに、鏑丸が自らその指に擦り寄っている

「…鏑丸が嫌がらないとはな」

嫌がる所かせがむ様な行動だ

つい感心の声が上がる

『伊黒様が可愛がってるからですね』

その声と笑顔に心が早鐘を打つ

これが甘露寺の言うキュンというものか…

なんとなくではあるがわかった気がする

『…伊黒様…？』

その声にハッとした

少しの間ピクリとも動かなかったのだ、こいつが心配するのも頷ける

こいつに対するこの愛おしい気持ちを隠す為に頭を撫でた

すると次は向こうがぴたりと動きを止めた

小声で呟かれた声が耳に届く

『え、伊黒様ってこんなに優しいっけ…？』

と、信じ難いものでも見たと言うように

「なんだ、俺が優しいと可笑しいか」

そう睨みつけながら言うとかなりの速度で首を横に振る

『あ、あの…えっと…嬉しいんです！伊黒様、最初は怖かったから…』

「…そうか」

言い訳がましいが、きっと本心なのだろう

頬をほんのりと紅く染め、俺の羽織を掴む手に少し力が入ったのだから

俺も満更でもないのだろう

口元は見えていないにしろ少し口角が上がっている気がしたのだから
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素振りにふりがなをふったのは実はあれ

そぶりともすぶりとも読めるからです
念の為なんです

あと作者はおばみつ推奨派です
伊黒さんの夢主への愛おしいは可愛いから