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2回目の打ち合わせは、あたしの中のステージコンセプトが決まってから行われた。嵐ちゃんのソロコンサートはクリスマス公演になっていて、シンプルで単純かもしれないが、コンセプトは"雪"にすることに。会場全体は青で統一し、雪の結晶のモニュメントをステージへ、そしてなによりオープニングとエンディングには本物の雪を降らせたかった。オープニングは雪の舞い散るなかで、独唱から始まる。エンディングは雪と一緒に紙吹雪も飛ばして、会場いっぱいに雪を降り積もらせたい。彼の美しさのなかにどこか見え隠れする儚さが、雪によく似合うと思ったからだ。

打ち合わせは大きな反対意見もなく順調に進んだが、ときおり見せる嵐ちゃんの物憂げな表情が目につく。もしかして何か不満があるんじゃないだろうかと心配になったが、他のスタッフたちが全員賛成するなか、うまく嵐ちゃんに意見を尋ねることができないまま、打ち合わせが終わる。もう決まったことを覆すことはできないが、このまま素知らぬ顔をすることなんてできなくて、慌てて彼を追いかけた。


「あら……鳴上さん!!!」


嵐ちゃんと呼びそうになるのを堪えて、鳴上さんと呼び直す。彼はすぐに振り返って立ち止まると、「どうしたのそんなに慌てて……」と息切れをするあたしを心配した。どうかしたのはあたしじゃなくて、嵐ちゃんの方なのに。


「……雪がテーマで、本当にいいんですか?」

「え?」

「なんだかすこし、悲しそうに見えたので……」

「……」

「もちろん大きくテーマを変えることはできませんが、できるかぎり鳴上さんの意見を取り入れて修正することも……!」

「ありがとう」


優しいのね、と微笑む瞳はどこか遠くを見ているようで、今にも消えてしまいそうに思えた。だから無意識に彼の腕に手を伸ばして掴むと、驚いたように目を丸くする。知り合って間もない私にできることなんてないかもしれないが、一緒に、素敵なステージにしたい気持ちはたくさんあるから。嵐ちゃんには悲しい顔じゃなくて、笑顔が似合うから。そう伝えるよりも先に、嵐ちゃんが口を開く。


「雪に、いい思い出がないの。でも、」


掴んでいた手に、彼の手が添えられる。その手はまだ夏なのに冷たくて、すこし震えていた。


「あなたが一緒なら、いい思い出に変えられるかもしれないわね」


絶対に、いい思い出に変えてみせる。触れ合った手からあたしの熱が伝わって、心まで温まればいいのにと、その手を強く握り返した。

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いちご - カップルになった続きがほしいです! (2022年4月16日 16時) (レス) @page10 id: 9dcf6f7d02 (このIDを非表示/違反報告)
冬梨(プロフ) - くまりつさん» こちらにもありがとうございます……! この嵐ちゃん連載は当方もお気に入りでして……好きだと言ってもらえて本当に嬉しです! なにより、コメントいただけるだけで本当に嬉しいです! ありがとうございました! (2022年3月14日 20時) (レス) id: cc516d419d (このIDを非表示/違反報告)
くまりつ - あああ嵐ちゃああああんっ!!ありがとうございます!!好きです!!(語彙力がなくてすいません💦) (2022年3月13日 22時) (レス) @page10 id: c5e980ac58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冬梨 | 作成日時:2021年12月25日 8時

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