解せぬ……52 ページ24
貴方side
『うん、私頑張って断ってくるよ!』
__なんてあの後豪語してきたけど……。
正直、まだ怖くて言い出せないのが現状だった。
私の机の前でまりちゃんが楽しげに話しているのを相づちを打ちながら聞いていると、隣からわざとらしい咳払いが聞こえる。
見なくても分かる。
月島くんが"さっさと言え"と私を急かしているのだろう。
彼の視線が痛い。
私は深呼吸をし、意を決して話を遮った。
「__でさ……」
『あ、あの!』
『あのね、私、まりちゃんの宿題、もうやりたくない』
言った。言ったぞ。
手の中は手汗でびしょびしょだし、背中には変な汗が伝ってて気持ち悪いけど。
ごめんね、と言って彼女の宿題を取りだし、突き返す。
『……本当に、ごめん』
再び謝ると、それまで呆然としていたまりちゃんは口を開いた。
「んーん、別に気にしなくていいよ!」
『……は?』
あまりにも明るい声色と口調に、軽く混乱しつつも言葉を絞り出す。
俯いていた私が顔をあげると、彼女は本当に気にしていない表情をしていた。
「元はと言えば私が悪いんだもん、逆に私の宿題やらせちゃってごめんね」
『……ぇ、いや……』
「そうだ、お礼しないとだよね! 何か欲しい物とかある?」
やけに軽く捉えられた気がする。
私としてはその方が気が楽ではあるのだが、かなり深刻に考えていた私は驚きを隠せなかった。
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冬景色(プロフ) - かめそんさん» 初めまして。応援コメントありがとうございます!お褒めに預かりとても嬉しく思います。これからも精進いたします! (2020年5月12日 7時) (レス) id: e83ba022d2 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - 初コメ失礼します。とても面白くて続きが気になります!更新頑張って下さい!! (2020年5月12日 4時) (レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬景色 | 作成日時:2020年5月9日 8時