かこへん ページ19
振｢はいストップ｣
次の日にあった新曲の振り入れ。
一晩寝ただけで体力が回復するはずもなく、私だけ遅れてしまう。
有｢A、休んで。体調崩すよ。｣
心配して声をかけてきてくれた大貴。
｢やすむ。ありがとう｣
水を受け取って座ろうとすると女性振付師の安藤さんから声がかかる。
安｢柚木ちゃん、ちょっと来て。｣
周りにいたメンバーは｢は？こいつありえないんだけど｣って目で安藤さんを見てたけどそんなの気にしてる感じもなく、私は安藤さんの元に向かった。
安｢自分だけ遅れてるの気づかない？｣
そんなの言われなくてもわかってる。
言い訳はあまり良くないけどそれでも優れない体調でダンスナンバーをフルで踊るなんて無理がある。
無理やり体を動かしてるのに。
みんなが休んでる中私だけ踊らされる。
山｢A、｣
いい加減休め
涼介にそう言われるけどここで休んだら｢女のくせに｣｢女だから｣なんて、私が1番嫌ってる言葉を言われるに違いない。
｢大丈夫。｣
だから弱音なんか吐かない。
そんな状態が続き年が明け2017年になった。
変わらないスケジュールにため息が出る。
鈴木さんは今日も下手な嘘をついて帰っていった。
｢はぁ。｣
深いため息をまたひとつ着いて終電があったから駅に向かった。
少し混んでる電車内。
端っこの方に立って外を見つめる。
電気がついてない家がほとんど。
早く帰って寝よう…。明日の朝は何時起きだろうか。
そんなことを考えながら最寄りに向かっていたが、2駅ほど進んだところで気づいたいつもの影。
いつも建物の影から私を見ている人が同じ電車に乗っていた。
体は恐怖で震え出す。
怖い。
直ぐにスマホを開き梅ちゃんとのトーク画面を開く。
まだ起きてますように。
そう思いながらもとりあえず最寄りがバレたらまずいと思い、この電車が終電であることを重々承知の上次の停車駅で降りた。
男｢ねえ。｣
梅ちゃんにメッセージを打とうとしたら声をかけられた。
男｢Aちゃん、だよね？｣
腕を掴まれてそう言われる。
｢、はい。｣
誤魔化しようがないため、正直に返事をする。
男｢おれ、ずっとファンで、｣
掴んでた腕を離し今度は手を握られる。
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作者名：ふわり | 作成日時：2020年6月23日 0時
