80話 呼べない ページ35
*
あの後、私は伊之助とも仲良くなった。
伊之助は人の名前が覚えられないらしく、私が何度名乗っても“白髪女”としか返してくれなかった。
でも、なんだかんだ話しているうちに楽しくなってくる。
私は炭治郎と伊之助のことを沢山聞いた。
『…そっかぁ、炭治郎と伊之介と善逸は仲良しさんだったんだね。知らなかったよ』
善逸も友達ができたんだ。
修行中では獪岳に怒鳴られてこき使われてばっかりだったし少し心配だったけど、
よかったよかった。
「裁判でAを見た時、同い年とは思えない貫禄があって話しかけにくかったけど、こうやって仲良くなれて嬉しいよ」
ニコニコと笑う炭治郎に、自然と私の頬も緩む。
私も泣きそうになるくらい嬉しいよぉ…。
これが全てを優しく包み込む長男の力…。
恐るべし。
だから、私はこみ上げる気持ちをグッと堪えた。
『……炭治郎』
謝らないと、
この前の裁判のこと。
『この前はごめんね。裁判にかけられた禰豆子ちゃんを守るどころか斬首すべきだなんて言って』
あの時、宇髄さんは“お前の意見を聞いてやる”って言ってくれたけど、
私、本当は斬首するつもりなんてなかった。
むしろ、
どうしたらいいか決められなかった。
だから、先輩の意見に合わせた。
「でも Aはあの後 お館様の意見に賛成してくれたじゃないか」
『お館様がそう言うなら信じるべきだって思った。…私は、“他の柱の人達とは違う”から』
「「……」」
私の言葉に炭治郎と伊之助は不思議そうに首を傾げた。
『あと不死川さん…、傷だらけの人のこと なんだけどね…。あまり怒らないであげて』
「でも、あの人を見たAはとても怒っている匂いがしたぞ?なのに、どうして庇うんだ?」
『そりゃ最初は不死川さんを見た時 怒ったよ。というか毎回暴言吐かれる度にキレちゃうの』
素直になれないだけなのかもね。
あの人を前にすると ついカッとなっちゃって。
『見た目はああだけど意外と良い人なんだよ。炭治郎もいずれ分かるから…』
*
“実弥さん。剣のお手合わせお願いできますか?”
“俺に勝つ気かァ?A”
“もちろんです。ていうかこの前は私が勝ちましたし”
*
(あの頃に戻りたい…)
昔の事を思い出した。
“実弥さん”なんて、
もう一生呼べない。
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れいな(プロフ) - BTてっちゃんさん» ありがとうございます〜!この作品大好きって言ってくれる方がいて本当に嬉しいです。語彙力とか全然ない作品ですが、どうかこれからもご愛読のほどよろしくお願いします! (2019年12月29日 21時) (レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
BTてっちゃん(プロフ) - 善逸が可愛すぎてニヤニヤが止まりません!wこの小説大好きです!!更新頑張ってください!応援しています!! (2019年12月28日 16時) (レス) id: 5f75657117 (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - ぽんかんさん» いつも作品を読んでくださりありがとうございます。この二人の関係はのちのち変化していく予定です。めちゃくちゃ祈っててください!! (2019年12月26日 17時) (レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - みるくさん» ありがとうございます。展開はどうするかはあやふやなんですけど ゆっくりお話を進められたらいいなと考えています。 (2019年12月26日 17時) (レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
ぽんかん(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!風柱の2年前の行いは、きっと理由があってのことなのですよね、!仲間思いの風柱は無闇に隊員を傷つけないと思っています、この後の展開でただの暴れん坊将軍じゃないことが解説されることを祈っております、、!!! (2019年12月23日 12時) (レス) id: 95123080ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れいな | 作成日時:2019年12月16日 22時