62話 瞳 ページ17
*
「それよりも私は坊やから話を聞きたいですよ。鬼を連れているあなたを見て、私達 本当に驚いたんですからね」
「ね?」と、しのぶさんは私に視線を送る。
私は首を縦に振った。
『自分が喰われるかもしれないっていう恐怖はなかったの?それとも、喰われる覚悟で鬼を連れていたの?』
私は腕を縛られた炭治郎くんの側にしゃがみ込んだ。
すると、彼は何かを伝えようとしたのか声を出そうとする。
「…ゲホッ!ゲホッ!!」
喉が渇いたのか彼は咳き込んだ。
「水を飲んだ方がいいですね」
しのぶさんは鎮痛薬が入っている水を彼に飲ませた。
「怪我が治ったわけではないので無理はいけませんよ」と しのぶさんは優しい表情を浮かべながら接している。
罪人に対しても優しく、彼の意見をちゃんと聞こうとする。
しのぶさん、やっぱりすごく優しい人だ。
そして、落ち着いたのか炭治郎くんはゆっくりと声を出した。
「……俺の妹は鬼になりました。だけど人を喰ったことはないんです。今までも、これからも、人を傷つけることは絶対にしません」
「くだらない妄言を吐き散らすな。そもそも身内なら庇って当たり前。言うこと全て信用できない。俺は信用しない」
「あああ…、鬼に取り憑かれているのだ。早くこの哀れな子供を殺して解き放ってあげよう」
伊黒さん、悲鳴嶼さんは、炭治郎くんの意見を真っ向から反対する。
「聞いてください!!俺は禰豆子を治すため剣士になったんです!禰豆子が鬼になったのは二年以上前のことで、その間 禰豆子は人を喰ったりしてない!」
「話が地味にぐるぐる回っているぞアホが。人を喰ってないこと、これからも喰わないこと。口先だけでなくド派手に証明してみせろ」
宇髄さんの言葉に炭治郎くんは黙ってしまった。
「……」
『……ぅ』
だから、なんでこっちを見てくるの。
炭治郎くんの瞳は、すごく綺麗で汚れを知らない色をしている。
おそらく、先ほど言っていたことも全て真実だろう。
でもさ、
なんで?
藁にもすがる思いで、彼は私に助けを求めようとする。
しのぶさんや冨岡さんに求めれば早いのに。
なんで?
なんで、私を見てくるの…?
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れいな(プロフ) - BTてっちゃんさん» ありがとうございます〜!この作品大好きって言ってくれる方がいて本当に嬉しいです。語彙力とか全然ない作品ですが、どうかこれからもご愛読のほどよろしくお願いします! (2019年12月29日 21時) (レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
BTてっちゃん(プロフ) - 善逸が可愛すぎてニヤニヤが止まりません!wこの小説大好きです!!更新頑張ってください!応援しています!! (2019年12月28日 16時) (レス) id: 5f75657117 (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - ぽんかんさん» いつも作品を読んでくださりありがとうございます。この二人の関係はのちのち変化していく予定です。めちゃくちゃ祈っててください!! (2019年12月26日 17時) (レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - みるくさん» ありがとうございます。展開はどうするかはあやふやなんですけど ゆっくりお話を進められたらいいなと考えています。 (2019年12月26日 17時) (レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
ぽんかん(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!風柱の2年前の行いは、きっと理由があってのことなのですよね、!仲間思いの風柱は無闇に隊員を傷つけないと思っています、この後の展開でただの暴れん坊将軍じゃないことが解説されることを祈っております、、!!! (2019年12月23日 12時) (レス) id: 95123080ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れいな | 作成日時:2019年12月16日 22時