数原くんの最後の恋人 (ページ25)

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Aside

「いらっしゃいませ、、っ！？」

土曜日のお昼過ぎ。
開店準備を着々と進めて時間通りに開店すると
早速やって来たお客様2名。

そのうちの1人は、なんとこの前
数原さんにお酒をぶちまけた張本人だった。

思わず、顔がひきつるのが自分でも分かったけれど
相手も、私を見た途端気まずそうな表情を浮かべた。
けれどその直後、驚くことに頭を下げてきたのだ。

"あのっ、、この間はまじですいませんでした、
なんか俺、おかしくなっちゃってて、その、酒掛けちゃったりとか、"

"馬鹿、もっとちゃんと話して謝って！"

隣の女性が、思い切り彼の肘をつついて小声でそう言ったのが聞こえた。

、、わ、物凄い美人、、！

なんて、謝ってもらっている最中なのに
目線が女性の方へと向いてしまうぐらい。

すると、目が合った彼女が、これまた気まずそうに
でもハッキリとした口調で謝ってくれた。

"この度は、彼が大変ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
このような情けない格好ではありますが、反省はしていると思いますので
どうかお許し下さい。
あと、お酒を被ってしまった方にもお会いしたいのですが、連絡先など渡してもらうのは
可能でしょうか、、？"

「あっ、いえ、こちらこそ店員としてお客様のお気に障ってしまうような
行動をとってしまいました。申し訳ありませんでした。
えと、その方なのですが、常連様ではないので、いつ来店されるかが分からなくて、、」

すると、綺麗な眉を八の字にして
隣の彼を睨んだ。

"もう、どうすんのよ。このままクリーニング代も払えないんじゃ私が納得出来ないわよ、"

"うっ、、と、とりあえず、今は名刺だけ預かってて貰っていいっすか？
な、それしか今は方法ないって。美優。"

美優、と呼ばれたその女性は
そんな男性の様子にはぁっ、とため息をついた後、小さく頷いた。