74.sha side ページ24
sha side
次第に降り出した雨はさながら今の俺の心情を表しているかのようで、体温が奪われていくのを感じる。もう俺の顔を伝う水滴が何なのかも分からへん。
雨が降り出してからも体を動かす気力が持てなかった俺はその場を動かずにおった。願わくば、この雨で全て無かった事にしてくれる事を、とまぁ、そんな陳腐な考えをしていた俺の周りの音が突如消えたのを不思議に思い顔を上げてみた。
『、、、風邪、引きますよ』
彼女はずぶ濡れになっている俺に一本の傘を傾けてくれていた。
空はどす黒くどんよりとしている筈やのに、確かに彼女の背後には後光が差しとった。
その神々しい姿に思わず見惚れてしまっとった俺はまた直ぐに自分への嫌悪感に駆られる。
「、、、いらん」
『、、、そうですか』
そう言うと彼女は傘を閉じて俺の隣のブランコに腰掛けた。
、、、傘を閉じて?!!
「ちょっ?!あんた何してんねんっ?!」
『貴方が帰るまで私も此処に居ようかと』
「そんなんしたらあんたも風邪引くに決まっとるやん!!」
俺は急いでブランコから立ち上がって彼女の手を取り、屋根付きのベンチまで連れて行った。
寒そうに身震いする彼女。まだ春先で肌寒いこの時期にちょっとの間だけでも雨に打たれたりなんてしたら寒過ぎて風邪引くに決まっとる。
「、、、ほら、これ濡れてないから使いーや」
うちの高校の規定鞄が防水加工付きの物で助かった。中の物はほとんど濡れとらんかったから、中学と同じ野球部に入ろうと考えとった俺は忘れへんようにと入れっぱなしにしとったジャージの上着を彼女に差し出す。
『いや、私は大丈夫で、、、くしゅっ!』
「、、、ほら言わんこっちゃない」
彼女の肩にジャージを重ねると謝る彼女。別に悪い事してないし俺が彼女の優しさを跳ね返してもーただけやから謝る必要なんてあらへんのに。
_____
最近私情で忙しくて更新が遅れてしまい申し訳ありません、、、
更新されたら見てやるかぐらいに思って頂ければ幸いにございます。
黒翠
159人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「d!」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒翠(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!この作品に出会って下さったということに、感謝の気持ちで胸いっぱいです。お優しいコメントをありがとうございます! (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - コメント失礼します。この小説面白いです。黒翠さん、素敵な作品をありがとうございます (2023年3月13日 21時) (レス) @page39 id: e066df4934 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - リリィさん» コメントありがとうございます!嬉しい限りです!そのお言葉で更新頑張れますありがとうございます!! (2022年2月22日 0時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - とても面白くて続きが楽しみです! (2022年2月21日 21時) (レス) @page6 id: 74ae9aa626 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - 露助さん» いえいえそんな!いつもコメントありがとうございます!頑張れます〜!(書いてる私自身も思ってます^^;) (2022年2月16日 22時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒翠 | 作成日時:2022年2月8日 0時