52.kn side ページ2
kn side
「(あっ、おった、、、)」
あれから俺は前よりも図書館に行く頻度が上がると同時に、
彼女を見掛ける頻度も上がった。
彼女を目で追っていく内に分かった事がある。
全校生徒の前で表情を一切崩さず、
一言で相手を一刀両断してしまう彼女にも女らしい趣味があるって事。
彼女はどうやら少女漫画や恋愛小説を好むらしい。
資料を取った後にそのジャンルのコーナーに立ち寄るんが殆どやから間違いないやろう。
ただただクールな奴なんかじゃなくて、実はちゃんと女子っぽい趣味があるとかさ、、、狡ない？そういうギャップって一番心に刺さらんか？おいお前心無いやろとか思った奴は後で校舎裏来い。
今日も彼女は資料を片手に少女漫画を借りるつもりなんやろうか。集会の時よりも心が躍ってるような表情に、俺の心臓は爆発寸前やった。今生きているのが不思議なぐらいには。
あんなに綺麗な人が微笑んだら俺のちっぽけな心臓なんか爆散するに決まっとる。それも、俺の目を見て微笑まれたら心肺停止に陥る未来しか見えん。
彼女が一番上の棚に視線を向けとった。多分其処に欲しい本があったんやろう。踏み台を持って来て手を伸ばすが、惜しくも届きそうに無い。、、、かわええ
俺も今まで恋愛小説も幾度と無く読んできたけど、ぶっちゃけ感情移入までは出来とらんかった。恋とかした事無かったし。
そんな俺が、初めて痛感した。
好きな人が届かない所にある物を取ろうとする姿の愛らしさ故に、
代わりに取ってあげたくなる気持ちを。
"はい、この資料で合ってる？"
"合ってるよ、ありがとうコンちゃん"
それを誰かに横取りされる気持ちを。
俺が行くか行くまいか悩んでるいる内にあっさりと生徒会の奴に先を越されてしまった時、嗚呼、やっぱり俺みたいな部外者が彼女に関わることは許されへんのかなって思った。
でも、神は俺にチャンスを与えてくれた。
彼女がうちの部活に入ると聞いた時は正直言って驚愕した。だって今まで密かに想いを寄せとった相手が同じ部活に入ってくるとは思わんやん？
初めて彼女が部室に足を踏み入れたあの日、閉め切った空間の中で彼女が吐いた息が俺の体へ、もしくは俺の吐いた息が彼女の体へ取り込まれているかもしれへんと考えた時は、自分の呼吸を止めるか息を吸いまくるかめちゃくちゃ悩んだ。
だけど、同じ部活の仲間として、
これからは彼女に接する事が出来るんや。
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黒翠(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！この作品に出会って下さったということに、感謝の気持ちで胸いっぱいです。お優しいコメントをありがとうございます！ (2023年3月14日 0時) (
レス) @page40 id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - コメント失礼します。この小説面白いです。黒翠さん、素敵な作品をありがとうございます (2023年3月13日 21時) (レス) @page39 id: e066df4934 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - リリィさん» コメントありがとうございます！嬉しい限りです！そのお言葉で更新頑張れますありがとうございます！！ (2022年2月22日 0時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - とても面白くて続きが楽しみです！ (2022年2月21日 21時) (レス) @page6 id: 74ae9aa626 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - 露助さん» いえいえそんな！いつもコメントありがとうございます！頑張れます〜！(書いてる私自身も思ってます^^;) (2022年2月16日 22時) (レス) id: 73723415d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒翠 | 作成日時：2022年2月8日 0時
