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「……マジで?」






あんぐりと開けられた口は
瞬きにパクパクと閉じて

言い出しっぺの本人は
え?、なんてまだ戸惑い顔






「だって。1番筋が通るじゃない」

「いや、え、……マジ?」






その目が今度は私に向くから
鈍い頷きで誤魔化して






「絶対そう、とは言えないけど……」






志保さんへと視線を飛ばす





「やっぱりしっくりはくるよね」

「えぇぇー、マジかぁ」

「なんか、一応辻褄があうっていうか」






頷いた志保さんを横に
岸くんの口は開いたままで






「知り合い作らないようにしたり、仕事固定にしなかったり」





あぁ、とようやくの相槌






「それってさ。記憶が保たないせいだと思えば、説明つくような気がしない?」


「あー……」








改めて言葉にされると




じわり

現実味がおびて







「いやぁ……、まじ。か、」

「優太、さっきからそればっかり」






一度そうかもと思ったら
思考はそっちに急直下





「いーやぁ、だってさ?高校ん時とかほんと普通だったし」








……そうだ




岸くんからしたら
紫耀くんは近い存在で








「記憶保たないとか言われても、さ」









私とは距離も違うんだ









「でもあれだな!やっぱそれがしっくりくるわ」






煽るコーラに鼻をつまんで
いってぇ、なんて丸まるから


ふふ、とこっちも気が抜けて






「そっか、」

「おう!とりあえずそのセンで行こーぜ」

「そうだね。まずは、とりあえず」





あ、と続けた志保さんが
手の甲を顎へ滑り込ませると





「そういうドラマ、あったよね」





ぱちり記憶が引き出される





「あー、探偵の?」

「え、俺それ知らねぇ」

「1日で記憶がリセットされちゃう探偵の話。眠ると記憶が消えちゃってね、」






これこれ、と差し出された画面に
ドラマのサイトが映されて


見入ったまま黙りこくるけれど









「紫耀、マジで覚えてねぇのかな」









今日だけを

生きていくのなら









昨日も、



明日も、



過去も、



未来も、









そんなの気にする意味がない









これが

答えなんだろうか









紫耀くんが生きる世界には

今日、しか映らないのだろうか

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ふとん(プロフ) - はるかさん» はるかさん、ありがとうございます!ようやく折り返しと言えるところまできました…最後まで頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです! (2017年9月21日 23時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ここにきてこんなに切ない展開ってさすがです…続きがすごく気になります!! (2017年9月20日 2時) (レス) id: 66715550c8 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - つかささん» つかささん、ありがとうございます!最後まで自分の思い描いた世界を表現できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2017年8月31日 9時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - この作品を読んでいるとすごく不思議な感覚になります。更新楽しみにしてます。 (2017年8月28日 10時) (レス) id: ad87999c23 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 紫耀ちゃんが、いつ出てくるか楽しみです! (2016年12月19日 8時) (レス) id: a7ce410caa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふとん | 作成日時:2016年12月18日 21時

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