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「Aちゃんこっちなん？」
「うん、そうだよ」
改札を抜けた階段で
俺らこっちー、と右へ進んだ
岸くんと志保さんに手を振って
「じゃあまた！」
「うん、またー！」
「おやすみー、気いつけてな」
一緒やね、って向けられた声と
左手の階段を降りる
ほんとに、もう
わからない
こっちなの？、って聞いた声も
一緒やね、って上がる頬も
「お、空いてる。座っちゃう？」
2人で乗り込んだ電車も
あの日をなぞる
その全てが
紫耀くんを、隠してしまう
本当に、覚えてないの？
それとも
これも全部ワザと？
震えた通知に画面を見れば
岸くんから送られてきたのは
090、と並ぶ数字
LINEでもメールでもないせいか
なんだか
現実味がなくて
「どうかした？」
画面に触れようとしてた指は
距離を残して浮かんだまま
先へと進められないのに
「……ほんとに、繋がる？」
なのに、
言葉は先走る
「なんや。俺、疑われてんの？」
可笑しそうに揺れて落ちる声に
引かれた瞳が見上げれば
すくめた肩でずれるフード
「1回は、ちゃんと繋がるよ」
「……1回？」
「同じ番号からの着信には出れへんの。やから、1回だけ」
入る言葉は、回らなくて
それでも
目は逸らせなくって
覗こうとした瞳に落ちたまま
喉は締められるだけだから
「なんか、難しいカオしてるね」
瞬く以外はできなくて
ははっ、と吹き出された息に
また瞼がパチリ揺れれば
「見せたげる」
動いた唇は弧を描いて
はい、と画面が差し出される
わけもわからず視線を落とせば
開かれている着信履歴には
３つの番号が並んで
「んーとね、」
触れたのは右横のマーク
浮かび上がる選択肢の中から
その指先が選んだのは
”この発信者を着信拒否”
1番下にある10文字
「こーゆーこと」
なんで、と
聞いていいのかわからずに
こんな時には開かない唇が
動きかけた舌を塞いで
先回りした紫耀くんの口は
「そういう主義なの」
あっさり言葉を放たせる
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ふとん(プロフ) - はるかさん» はるかさん、ありがとうございます！ようやく折り返しと言えるところまできました…最後まで頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです！ (2017年9月21日 23時) (
レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ここにきてこんなに切ない展開ってさすがです…続きがすごく気になります！！ (2017年9月20日 2時) (レス) id: 66715550c8 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - つかささん» つかささん、ありがとうございます！最後まで自分の思い描いた世界を表現できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2017年8月31日 9時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - この作品を読んでいるとすごく不思議な感覚になります。更新楽しみにしてます。 (2017年8月28日 10時) (レス) id: ad87999c23 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 紫耀ちゃんが、いつ出てくるか楽しみです！ (2016年12月19日 8時) (レス) id: a7ce410caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふとん
| 作成日時：2016年12月18日 21時
