明日も君と、恋をしよう

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ビールを煽った岸くんは

半分も残っていないジョッキを
ゴトリとテーブルに下ろして





「岸くんて、お酒弱いん？」





浮かんだ紫耀くんの言葉に
瞬いては首をかしげる






「俺？普通じゃね？」


「でもさ。岸くんの耳、真っ赤やで？」






へ？、と落ちる気の抜けた声に
その耳へ視線を移せば





「ほんとだ」





たしかに、普通じゃない赤み






「優太、いつもそうだよね」


「え、マジで！？」






耳へ向かう岸くんの手に



勝手に視線が移るのは

跳ねさせた髪の隙間から覗く
いくつか影の付いた素肌





……ピアス、付けるんだ






似合うんだろうな





あんまりゴツいのは嫌だけど

紫耀くんなら、いいかもしれない







「ん？」






掠る声にブレた視線を

瞬く眼が引きずり込んで







「どしたん、」






呼吸も捕らえてしまうから







「……ううん、なんでもない」







たった一言で枯れる唇に
グラスを預けて誤魔化して






「えー、気になるやん！……あ。俺も赤い？」


「赤くは、ないけど」






紫耀は強そうだよな、って
ため息混じりの岸くんに





「そお？」





ただ何度か顎を引くだけ






「優太と並ぶと、全然ちがう」


「ははっ、それは岸くんが弱すぎちゃう？」


「や、弱くはないから！強くないだけ！」


「潰れんといてな？」






わかってますよー、なんて言いながら
手の甲には頬を乗っけて

ヤケ酒っぽく決まりそうなのを
真っ赤な耳が邪魔するから






「岸くん、明日1限だからね？」


「うっわ、そうじゃん」






ちょこっと現実を差してみたら
崩れた身体がうなだれる





「志保は？3限からだっけ？」


「そうそう、午後から」




いいなぁ、とボヤく私と岸くんに

軽く肩をすくめた志保さんが
でしょー、とチラリ歯を見せると




「あ、」




勢いよく起き上がる岸くんが
紫耀くんに目線を合わせて




「連絡先、教えてくんね？」


「ん、ええよ」





にんまり画面を眺め終えると
満足気に腰を反らしながら




「後でAにも送っとくわ」




口の端を引いてドヤ顔





「え？私？」


「え、いいっしょ？」


「へ？うん、ええよ？」





順番に回ってきた視線に
ありがとう、とだけ伝えれば


岸くんが親指を立てて






「紫耀は？明日なんかあんの？」






ふぁ、とアクビを終えた紫耀くんは






「んー、わかんないや」






細めた目を擦ってみせる

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