ふたつのいと 5

5-40 水滴と、世の中 ページ40

5-40 水滴と、世の中





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カウンターの個室。



岩ちゃんさんとシェフ、そして私。





どう考えても、なんの話をしたらいいのか…



レイカさんの事…イヤイヤ聞けない！！



隆二さんの事…広臣みたく惚気に聞こえたら嫌だしなぁ。







目の前の烏龍茶の入ったグラスには水滴。




水が滴っちゃう、なんて思い、さっと、おしぼりでふき取る。






「そーゆーの、気になるタイプだ」




『え？、気にならないですか？』





「俺はね、気になんない」



笑いながら水滴のついたグラスに口をつける岩ちゃんさん。




『ほら、服に水滴落ちてますよっ』





「いつか乾くよ、そんなん」





なんて雑な考え！！





「こちら、Aランク牛のフィレステーキでございます。お熱いのでお気をつけくださいませ。」








長い帽子のお髭を蓄えたシェフが。





「いっただきまーすっ」




よほどお腹が空いてたんですね、岩田さん…。




スッとナイフを入れて、パクッと。






「なんでさ、Aちゃんは隆二さんなの？」





美味しそうな顔に似合わない言葉。






『なんで…って、難しい事聞きますね…』





「気になるじゃん。世の中の女の子からしたら、完全に恨まれる話だよ？右向いても、左向いても。」






『そう、ですよね。』




「臣さんには飽きた？」





『そんな！飽きたとか、飽きないじゃないですよ…ただ、隆二さんは…』








全部受け止めてくれました。








そう言葉にする前に





「なんだ、顔が物語ってんね。いいなぁ」






『そんな、顔してません』






「してるよ〜、ほらAちゃんも食べなよ」







……岩ちゃんさんのせいで、全然食べられません…。

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