ふたりの瞳の先に…

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えりか side

私が高校に入って、最初に見かけたのは、渉くんじゃなくてAちゃん。

まだ、幼さが残っていて「中学生かな？」と間違ってしまうくらい。

佳奈ちゃんと親友のAちゃんはいつも一緒にいた。

「佳奈。お腹すいたよー。クレープ食べよう！」

佳奈ちゃんに無邪気に抱きつくAちゃんが可愛いと想った。

そして、そのころから調理師になるのが夢だったから、調理部に入って、渉くんの噂を聞いた。

会ってみたらのちにAちゃんの幼なじみだってわかった。

そして、話をしていくうちに渉くんのことが好きになっていた。

渉くんもいろいろ話が合って、お互い意識することも早かった。

佳奈ちゃんに『横尾くんと付き合ってるの？』と聞かれた。

私は『私は好きだけど、向こうはわからない…』って答えたけど、付き合いだしたのはそのすぐあとくらい。

渉くんと付き合ってからは、一緒に登下校したり、勉強したり、お買い物にいったり幸せだった。

でも、ある日ファミレスで一緒に勉強してたときに渉くんが寝てしまって…

『疲れたのかな…少しだけ寝せてあげよう』

そう渉くんの髪にそっと触れたとき…


『…静さん…』


渉くんがつぶやいた。


あとから佳奈ちゃんに静さんのことは聞いた。

そして、それで想いを伝えられてない子がいることも。


その子はあまり女の子の名前を言わない渉くんが呼ぶ幼馴染。


もしかしたら気がついてない恋をしてるのかもしれない…。


別れは私から。
『好きなひとができた』

って言えば渉くんはこれからも私を見ることはないから。




久しぶりに会った渉くんは、かっこよくて…


やっぱり私は、渉くんのことが好き。

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