ふたりの瞳の先に…

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佳奈と北山先生が、手を繋いで帰ってきた。
うまくいったんだなって思ってすごく嬉しかった。

横で渉が「だから、大丈夫だって言ったろ」ってドヤ顔してる。

佳奈、本当によかったね！




「ってことは、2組のカップル成立ってことだな！」

「ちょっと、藤ヶ谷くん！！」

あたしは藤ヶ谷くんの言葉を遮った。

まぁ、付き合ってること隠してるわけじゃないけど、みんなの前で言われるのは恥ずかしい…

そうしてると、隣にいるえりかちゃんや久しぶりに会った沙耶ちゃんがくすくすと笑いながら言った。

「隠さなくたって、さっき準備してたの見てたら分かるよ！」

「うん。なんか甘い雰囲気なんだよね。すぐわかったよ！」


あまい？ふんいき？

そんなのしてる？？

あたしが渉を見つめると、同じように渉もあたしのことを見つめててくれて、それだけで嬉しくて微笑んだ。


「今もアイコンタクトしたじゃん！ラブラブだねー。昔はAの片思いって、感じだったのに…。」

「ね、そういえば、えりかも昔横尾くんと付き合ってなかった？」



沙耶ちゃんの質問にドキッとした。

みんな高校や大学の友達(北山先生以外)だから知ってるんだよね。


隣にいるえりかちゃんは表情を変えない。
むしろ、笑って当時を振り返っていた。

「うん…渉くんに憧れてたから…。でも、渉くんはあの時からAちゃんのこと好きだったと思う…」



少しさみし気な目をして言うえりかちゃん。


え！


あの時から渉が……あたしを？？


それはない！だって渉はあの時ー。



「それはないよ！絶対これは言える………渉はえりかちゃんのこと大好きだっ……」

「Aちゃん、ごめん。ありがとうね。渉くんと幸せになってね」


えりかちゃんは、ふんわりとした笑顔を見せてくれた。




渉はあのとき好きだったのはあたしじゃない。



一番大好きなひとの面影がある女の子。


清楚で、大人で甘えん坊な君を包んでくれるようなそんな人。

君の初めての人なの？

君にとってどんな人だったの？


再会してさらに大人になったえりかちゃんに心がざわめきだしたんだ。

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