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「おいしい!」
「『いっほにふくるっていったのだへだっへ?(一緒に作るって言ったの誰だっけ?)」
渉が口にいっぱい含んで不満な顔でこっちをみてる。
「プロが作ると違うもん。明日から頑張って仕事できそう!」
「なら、良かったけどさ…あれなに?」
渉が指指したのは、昼間静お姉ちゃんが持ってきてくれたクッキー。
「静お姉ちゃんが昼間きたの。お姉ちゃん、今お腹に赤ちゃんがいるんだって!」
「へー、おめでたいね。かわいいだろうな」
「ね、赤ちゃん産まれたらいっぱーい遊んであげるんだー」
渉が、あたしのことじーっと見るから恥ずかしくなって
「なに?」
「いや、似合うな〜って。赤ちゃんとA。いつのまにか追い抜かれたりして…目に浮かぶ」
なんか、バカにしてるように聞こえるのは気のせい?
後片付けをして、こんなに一緒にいたのは、あの動物園以来?
隣に並んでる渉。
昨日キスされたんだよね?
思い出すとドキドキが止まらなくなる。
「ね?渉…」
「昨日さー」
あたしの声に渉は見つめる。
「…やっぱり起きてた?」
「…うん」
「ごめん!」
「違うの!あたし…」
あたしが強く言うと、渉は目を見開いてた。
伝えなきゃ、あたしの気持ち。
「カラオケの帰りに渉が……あの…触ってきたじゃん?正直、怖かった。」
「…」
「でもね、渉にごめんって言われてそれから…素っ気なくされて、辛かった。だって、あたし渉となら大丈夫だって思えたんだもん…」
「A…」
「ちゃんと伝えられなくてごめんね。付き合うのはじめてでよくわからなかったの。でもあたし、やっぱり渉のことが好…」
最後の言葉を遮るように、腕をぐいっと引っ張られていつの間にかあたしは渉の胸の中。
温かくて渉の匂いがする。
「俺の方こそ、いきなり別れ話してごめん。Aを傷つけてしまうんじゃないかって怖くなって…」
「傷つかないよ。大丈夫だよ、抱え込ませて、気がつかなくてごめんね。」
あたしは渉の頬を優しく撫でた。
「これからは、不安なこともふたりで話そう?」
「うん。」
あたしは、また渉の背中に腕を回した。
渉はあたしより力強く抱きしめてくれた。
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まこ(プロフ) - ぴろぱにさん» コメントありがとうございます!キミとのキセキも続編で書かせていただきました。少しですが良かったら読んでみてくださいね。 (2019年6月30日 19時) (レス) id: b6caf7e598 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぱに(プロフ) - はじめまして、凄く楽しみにしていました!続きが楽しみです! (2019年6月30日 19時) (レス) id: 68726d2dc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まこ | 作成日時:2016年4月2日 17時