ふたごの片寄

F.12 ページ12

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教室に入った途端、涼太があたしのとこにやってきた。

聞かれることは大体予想ついてるよ。



「で！どうだったの？」


本気で妹の恋を応援しているらしい兄。

でも違うんだなぁー。



『読んでみたらさー、あたし宛じゃなかった！』


「...どゆこと？」


『全然違う人の名前書いてたからさ、間違えたんじゃない？
ほら、ウチらの靴箱って似てるし』


「ふーん、そっか！Aに彼女できるー、って思ってたのに」



「気にしなーい！」と、私の背中をひと叩き。


あたしはこの"ひと叩き"に何度救われたんだろう。




...それにしても、あたし。


ウソ上手くなったなぁ。本当に。


ちっさい頃なんてさー、嘘ついてたら顔にすぐ出るものだから、いつも見破られては怒られてた。

後々後悔するって分かってんのにね。





ストン


固い椅子に腰を降ろすと同時に、机に人の影ができる。



曲げすぎってくらいのスカートから覗く無駄に細い脚、そしてキツい香水かクリームかよく分からない匂い。


どうやったって間違えない。
さっきの4人だ。




何か言われるんでしょ、覚悟はしてますよー。
はいはい。



「さっきの紙、読んだよね？」


はい、きましたぁ。



『読んでたら何か』



ここは強気でいかなきゃ。
周りの目線なんて気にしてられない。




ふたごっていう、離しようも離れようもない関係にグチグチ言ってるんだから。

あたしが折れてどうよ、って話。



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