#百九十一振り目 ページ48
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___小さく走っている白い亀裂の前に、私は仁王立ちで構えた。
『......』
すぅ、と静かに息を吸い込み、精神を統一させる。
___「精神を統一」、なんて言ってしまうとやけにカッコつけているように感じるだろうが、...だって、それ以外に言い方ないし。
たらふく吸い込んだ息を、今度は全て吐き出して。
それを、計三回繰り返した。
全神経を集中。
己の敵は今、目の前の、壁。
これさえ破れば、皆の元に戻ることが出来ると、"信じて"。
........。
ふと思った。
「信じる」という行為は、きっと人を強くする。
自分が、心の底から信じる事が出来る人が、この世界のどこかにいるのなら。
それならきっと、「自分は独りじゃないんだ」って思うことが出来る。
目に見える範囲では、右にこんのすけ、左に長谷部。
...目に見えない範囲では、今も懸命に戦い続けているであろう、本丸の刀剣男士たち。
例え距離が離れていようと、
例えこの身を置いた世界が断絶されたとしても。
例え忘れられようとも、...例え私が、敗けたとしても。
〔みんなー!!見てみて、わたしね、今日はほら!これが出来るようなったんだ!〕
〔ほお!凄いなA!それだけやれるなら、もう俺たちと一緒に戦に出ても、敵の一人や二人、けちょんけちょんに倒せるんじゃないか!?〕
〔鶴さん、流石にそれは言い過ぎなんじゃ...。でも、よく頑張ったねAちゃん。疲れただろうし、そろそろ休憩にしよう?おやつにずんだ餅作ったんだけど、食べるかい?〕
〔わーい俺も食べるぜ!みっちゃんのずんだ餅は美味いからなぁ!へへ、A、今度は俺とも手合わせしよーな!〕
〔...飽きっぽいお前にしては、努力したな。まぁ、木刀の振り方は悪くなかった〕
〔歴史を守ることは、とんでもなく大事な事だ。A、これだけは覚えておいてくれ。父さんと約束だぞ!〕
〔___あなたはあなたに出来る事をしなさい。そう、母さんみたいにね!〕
妙にはっきりと思い出したのは、何でもないただの日常。
そこには皆がいて、私がいて、父さんがいて母さんがいた。
あの他愛のない日常が色褪せる事は、今後決してないだろう。
私がここに居る限り。
生きている限りは、決して。
『___みんなとの思い出は、絶対に、消えない!!』
「行きますぞ!」
「あぁ!」
一際青い輝きを放った霊剣を小さな亀裂に叩き込んだ、瞬間。
爆風が、神域一帯に吹き荒んだ―――。
To Be Continued….
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*紫苑*(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます!続編完成しましたよ!(*^▽^*)続編の方でも楽しんでくださると嬉しいです…!(*≧∀≦*)あともう少しだけお付き合いください!よろしくお願いします! (2020年4月3日 21時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続編気になるーーー頑張ってください!!!!大ファンです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 54588389f1 (このIDを非表示/違反報告)
*紫苑*(プロフ) - ちゃらんぽらんさん» 嬉しいコメントありがとうございます...!!1人でも多くの刀剣乱舞ファンの方を伊達組沼に落とそうと画策していた次第であります(笑)楽しんで頂いているようで作者も本望です(*^▽^*)続編、ラストスパートかけていきます!あと少し、よろしくお願いします!! (2020年3月23日 11時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - (続)寂しさも感じます、続きを楽しみに待っております!かなり長くなってしまって申し訳ない!更新頑張ってください!!! (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - 初コメ失礼します!!めっっっっっっちゃ続きが気になりすぎて夜しか眠れません((元々鶴丸だけを推してたんですが、この小説がきっかけで一気に伊達沼に堕ちました……サイコーだぜ…((続きが気になるし、早く読みたいと思う反面、伍で終わってしまうのか…という(続) (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*紫苑* | 作者ホームページ:http://twitter.com/wakagi116
作成日時:2019年5月10日 18時