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#百七十三振り目(百六十五振り目の続き) ページ30





なぜこんなところに、子供が。

___思考回路は、そのたった一つの疑問に埋め尽くされた。


これだけ遠くまで離れているのに、...小さく見える背中から伝わってくるのは、深い悲しみ。
見ているこちらまで同情を誘われるその姿を言葉で表現することは、簡単なことではなさそうだ。




『...どう、する?』

「...どうすると言われても...。様子を見ているだけでは何も始まらんだろう」

『かと言って、話しかけたらこの神域が壊れちゃいました、なんてことになったら終わりなのでは...?』

「踏み出してみるのも、大事なのではないしょうか?今はイチかバチか、賭けてみる価値はあると思われますよ!」

『...んー...!』




背後で、こそこそ、こそこそ。

どうやら向こうにはまだ気づかれていないみたいだけど、それもきっと、時間の問題だ。

こんのすけと長谷部の言葉に、迷いに迷って数十秒。


___一人と一匹の意見が、正しいと見た。


確かに、ここで止まってたら永遠に神域から出られないかもしれないし?
...そうしたら、目的もクソも、なくなってしまう。




『じゃあ、君たちはここで待っているように』

「...は?」「...はい?」

『当たり前でしょ。相手は子供だよ?喋るキツネはまだ良いかもしれないけど、長谷部みたいな厳格で怖そうなお兄さんがいたら、泣いちゃうかもしれないし』




私のそんな言葉に、長谷部はぐ、と言葉を詰まらせた。

あ。
自分の顔が怖いっていう自覚はあるんだ...。←




『...それに、ここは影華の神域だから、あの子供はきっと、彼女に関係する誰かだと思う。もしそうなら、私一人で行かないと平等(フェア)じゃない。違う?』

「まぁ...、言いたい事は分かるが...」

『じゃあ、もう一回言うよ。君たちは、ここで待っているように』




一人と一匹を安心させるようにおどけてそう言う。
力強く笑みを浮かべ、私はさっさと歩き出した。


___次第に近くなる子供との距離。

近づくにつれて、詳細が分かってきた。


子供。女の子。...小学校低学年くらいかな?
髪はストレートで長くて、丸まった背中は濃い哀愁を漂わせている。

微かに上下している肩を見る限り、...どうやら、泣いているようだ。


確か中学校の頃、保育園に家庭科の研修に行ったことがあったっけ...。
意外にも子供に懐かれて、割と楽しく遊んだ記憶がある。



その要領で、声をかけてみればいいのかな?



子供__少女の、すぐ横。
そこまで歩いて、私は極力女の子を驚かせないよう、目線を合わせるようにそこにかがみ込んだ。



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*紫苑*(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます!続編完成しましたよ!(*^▽^*)続編の方でも楽しんでくださると嬉しいです…!(*≧∀≦*)あともう少しだけお付き合いください!よろしくお願いします! (2020年4月3日 21時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続編気になるーーー頑張ってください!!!!大ファンです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 54588389f1 (このIDを非表示/違反報告)
*紫苑*(プロフ) - ちゃらんぽらんさん» 嬉しいコメントありがとうございます...!!1人でも多くの刀剣乱舞ファンの方を伊達組沼に落とそうと画策していた次第であります(笑)楽しんで頂いているようで作者も本望です(*^▽^*)続編、ラストスパートかけていきます!あと少し、よろしくお願いします!! (2020年3月23日 11時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - (続)寂しさも感じます、続きを楽しみに待っております!かなり長くなってしまって申し訳ない!更新頑張ってください!!! (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - 初コメ失礼します!!めっっっっっっちゃ続きが気になりすぎて夜しか眠れません((元々鶴丸だけを推してたんですが、この小説がきっかけで一気に伊達沼に堕ちました……サイコーだぜ…((続きが気になるし、早く読みたいと思う反面、伍で終わってしまうのか…という(続) (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*紫苑* | 作者ホームページ:http://twitter.com/wakagi116  
作成日時:2019年5月10日 18時

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