【刀剣乱舞】生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってきます。

＃十九振り目 ページ21

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唐突に部屋の外で響いた、
...これは順に数えて、第五者の声。

外から差す光が、部屋の襖にシルエットを形作っている。


固まってる４人とは反対側から、彼らと比べると随分と小さいシルエットが現れた。




『.......ッ！！』

「あ、危なかったぁ...！」




私の息を飲む気配と、背後の人影が呟いたのが、同時。
後ろの人も、胸を撫で下ろしたようだ。




「...ごめん、君が一番怖い思いしてるだろうけど、もう少しだけ、辛抱して」




幾分落ち着いたのか、人影がそう口を開く。

本当に申し訳なさそうな声色。
心配、してくれてるのだろうか。

この人に対して抵抗する気はさらさらないから、無言で頷いた。


...しかし、そうしている間にも。

部屋の"外"での攻防は、続いていた。




「ダメだろ、勝手に人の部屋に押し入ろうとするなんてさ。せっかく昨日掃除したんだし」

「...太鼓鐘.....、何の真似だ？」




いつもの倍低くなった長谷部の声。
それに怯える訳でもなく、...むしろ面白そうに、小さなシルエット＿＿＿、

太鼓鐘貞宗は、快活に笑った。




「何の真似って...、俺は、本丸の中で真剣振り回してるあんたらの方がよっぽどどうかしてると思うけどな。殺気まで滲ませられちゃあ、どうしようもねーぜ」

「.......邪魔、するのか？主命を帯びている俺たちを」

(....！！)




それならば、いくらお前でも斬るぞ＿＿＿、
長谷部の言葉の後に、そんな台詞が続く気がして、背筋が凍った。

それは、４人と相対している太鼓鐘も同じだったようで。

...いや、正確に言うのなら、彼を背筋を凍らせたのではないのだろう。

"危機意識を持った"だけだ。

む、というような沈黙が続く。

だが、決して、臆してはいなかった。




「この部屋では、中傷負ったみっちゃんが寝てんだ。それを邪魔してんのはそっちだぜ」

「...そうか、それがお前の返答か」




まったく、この悪戯坊主め...。無駄な手を焼かせるな。

...そんな響きの軽口のはずなのに、その後に聞こえたのは、
刀の鯉口を切る音。




(まさかっ...本気！？)



いくらブラック本丸だろうが、いつもは厳しかった長谷部だろうが。

...同じ刀に、同じ刃物を向けるとは思わなかった。

そこまで、この本丸は歪んでいるのか。
＿＿＿長谷部の他の三振りも、彼の暴挙を止めようとする気配はない。


...だが。




「大丈夫。まだ、増援がいるから」

『...？』




少しだけ笑みを含む声。
そう、ついさっき、太鼓鐘に名指しされた刀。


"みっちゃん"こと燭台切光忠は、確かにそう言った。

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