【刀剣乱舞】生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってきます。

＃二十振り目 ページ22

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"増援"。

光忠が言うそれに、私には二人の心当たりがある。


一人は、頭からつま先まで真っ白な姿をした男。

「驚き」だの何だのと言いながら、悪戯ばかりする大人げない五条の太刀。
子供っぽいところもあったけど、その分いざという時は本当に頼りになった。


もう一人は、浅黒い肌が特徴的な、左腕に立派な竜の彫り物を巻きつけた青年。

こちらは「馴れ合うつもりはない」だの何だのと、随分とっつきにくい人柄だったが、
...不動明王の剣に巻き付く倶利伽羅竜の名を持つ、誇り高い打刀だった。


＿＿＿分かってくれるだろうか。


鶴丸国永。

大倶利伽羅の二振りである。




(あの二振り、...なのかな...？)




互いのシルエットが動かないまま、数秒が経過する。
...だが、利き手は、双方とも腰の刀に伸ばされたままだ。

どうなる？
...どうする？

いくら増援が来るから等と言われても、緊張は極限に高まっていた。




「＿＿＿おい」


(.......！？)




と。

無造作に、廊下を歩いてくる足音。

躊躇なく刀を抜く音が、同時に聞こえた。




「さっきの台詞、どういうことだ...。貞に手を出すつもりなら、こちらも抜くぞ。こいつは俺の大事な仲間だ。...それを守る為なら、相手があんた達でも容赦はしない」

「ふん...、相変わらずだね、大倶利伽羅？」




清光の、声。
小馬鹿にしたように鼻で笑う。

来た。
小さい声のくせに大迫力の低音。

＿＿＿大倶利伽羅。




「！！...ちぇ、出てこなくても良かったのに...」

「うるさいぞ貞、俺がどうしようが俺の勝手だ」




至極、冷たく言い放つ。

ふてくされたように黙り込む太鼓鐘をよそに、大倶利伽羅は一旦、構えていた刀を下げた。


＿＿＿最後の登場者が、やってきたからだ。




「そうそう、伽羅坊の言う通りだ。俺がどうしようが、もしくは俺"たち"がどうしようが、それはこちらの勝手さ！で、今お前たちが踏み荒らそうとしているこの部屋には、さっき貞坊が言った通り光坊が眠ってる...。人の睡眠邪魔するヤツは、馬に蹴られて死んじまえ、ってな！」

「...ほう、お前はそちらにつくか五条の？」

「正しいこと言ってるのは貞坊と伽羅坊だろ？それに俺、一応こいつらの保護者だし」

「...誰が保護者だ、手間ばかりかけさせて...」




凄みのある三日月の問いに、しれっと返す鶴丸。
大倶利伽羅の呟きに、私は今の状況を忘れ心の中で深く頷いた。


鶴丸は保護者というより、手のかかる兄ちゃんだよなぁ...。




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