【刀剣乱舞】生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってきます。

＃十六振り目 ページ18

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はっ、はっ、はっ、...と。
短い呼吸のなか、私は半ば迷路のように入り組んでいる廊下を駆け抜ける。

本丸の造りって、こんなに複雑だったっけ＿＿＿？
...そう思ってしまうほどに、方向感覚は奪われていく一方だったが。


どこに誰の部屋があるかは、鮮明に記憶している。

母さんは、刀剣男士がただの刀剣だった頃の関係も大切にしていたから...。


兄弟刀は、兄弟刀で。

元の主が同じなら、それはそれでまとめ上げ。

鍛えられた時代が同じモノたちだって、綺麗にまとまっていた。


こんのすけの気配を必死に探しつつ、通り過ぎる部屋それぞれに生活していたはずの刀剣の顔を無意識に思い出してしまうのは、
...やはり、彼らに忘れられてしまったらしいだけあって、辛かった。




『......ッ...！』




体を動かすこと自体は嫌いではないが、
中高と運動部活に入ってなかったせいか、息切れで胸が痛い。

＿＿＿というか、物理的に体が重いのだ。

この本丸そのものが、まるで私を毛嫌いしているような＿＿＿、
そんな幻覚めいた感じが、ぞわりぞわりと、背筋を這い寄ってくるようでおぞましい。




(こんのすけんのヤツ...、どこ行きやがった...！！？)




ここで大声を出してこんのすけを強制的に呼び戻そうものなら、ただでさえピリピリしていた清光と長谷部以外の刀剣がわらわら出てくるのがオチだろう。
(それも、私を殺そうとして、だ。)

さっき彼らの刀を防ぎ切ることが出来たのは、多分、まぐれだ。
次はないと考えた方が、どう言っても現実的である。




『...ふー...！』




...どれぐらい、階段を行き来して廊下を走り続けただろうか。

少なくとも、私が入ってきた玄関からはだいぶ遠ざかったはずだ。


さすがに、あの俊足二振りも追ってこられるものではないだろう＿＿＿、


そう思い、壁に手をついて深呼吸した、その時だった。




『...うっ...！？』




襲ってきたのは、激しい頭痛と吐き気。

同時に、"心の中で、何かが音を立てて割れたような感覚"。


瞬間的に、悟る。




(＿＿＿＿破られた...！！)




頭に流れ込んでくるのは、青いガラスが粉々に砕け散った無残な映像。
それをまたいで、こちらのテリトリーに侵略してくる影が、...少なくとも４つ。

千里眼か何なのかは知ったこっちゃないが、ヤバい。

結界が、破られた。
こんのすけを探すタイムリミットは、すでに終了してしまった、という訳だ。


...破ったのは、さっきの二振りではないだろう。
打刀でやられるような強度ではなかったはず。

残る可能性は、




(...太刀か...！)

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