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『確か今日ご両親帰られるんだよね』

「うん」


部屋で麻子と話していると、郁が帰ってきた。


「よ。いろいろお疲れ」

「疲れた…」


麻子の一言に、郁はその場にへたり込む。


『まぁ無事に乗り切れてよかったよね』

「まぁねー」


言いつつ郁はセーターとシャツを一気に脱いだ。そして部屋着のトレーナーを引っ張り寄せて被り、そのままコタツに潜り込んだ。


「二人もありがとね、いろいろ」

「いいのよー、あたしは元はしっかり取らせてもらうから」

『それでご両親、郁ちゃんの仕事ぶりは何て?』

「あー、おかんは結構どうでもよかったっぽい。二日目とかめちゃくちゃ暇持て余してたし。じゃあ来んなって感じだけど。おとんは手強かったな、抜き打ちでレファレンス吹っかけられてしかも手塚と比べられた」


レファレンスというのは利用者に適切な資料を紹介するレファレンス・サービスのことで、それもある特定の図書を出してくれというような簡単な要求ではない。

図書館業務に精通した上で更に幅広い知識が必要になる、司書職の中でも特に高度な業務だ。

それを、普段は戦闘職に就いている郁にやらせるとは、確かにお父さん、手強い。


「手塚と比べられちゃたまんないわね、あれと張るのは同期であたしくらいでしょ」

「あんたもちょっと謙遜とか覚えろ」


郁がはぁとため息をつく。


「ねぇ、今度休みの時暇だったら一緒に図書館行かない?三人で」

『え、何どうしたの』

「レファレンスの練習、したいなって…」

『いんじゃない?行こうよ』

「まぁ暇だったらね。…そんなことより、高尾、あんた機嫌よくない?今日一日何してたのよ」

「そういえば上にいなかったよね」

『書庫作業入ってた』

「へぇ、それで小牧教官とね?」


麻子が含み笑いを浮かべる。

今日の書庫業務は、平日ということもあってか、夏休み中にやった初めての書庫作業の時よりは落ち着いていた。

とはいえ、やっぱり忙しくないというと嘘になるわけで。


「いやぁお疲れさま。でも高尾さん、すごい動けてたよね、感心したよ」

『あ、ありがとうございます…』

「他メンバーはベテランばっかなのにその中で見劣りせずに動けてたんだから大したもんだ」


こういう時、私ってチョロい人間だな、と改めて思う。

ちょっと褒められただけなのに、小牧教官は私を気にかけてくれてるなんて錯覚を起こしてしまう。


「恋する乙女じゃん」


郁の言葉に上手く言い返せない自分に驚いた。

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設定タグ:図書館戦争 , 小牧幹久 , 田中圭   
作品ジャンル:ラブコメ
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アオイ(プロフ) - みさこさん» わあああ!!ありがとうございます!!返信遅くなってすみません、仲良くしてください!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
みさこ(プロフ) - 先程フォローさしていただきました。よろしくお願いします。V6大好き(女子)です (2020年3月5日 1時) (レス) id: 96340430ed (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。消したつもりになってました。申し訳ございません。すぐに消させていただきました。 (2019年8月3日 23時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月3日 23時) (レス) id: 9ac913b464 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アオイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kuroki  
作成日時:2019年8月3日 23時

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