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壇上で声を荒げたのは、悠馬と大河が謝りに行った『考える会』会長だ。
「子供たちをフォーラムに参加させたのは『考える会』を批判させるためですか!こんな差し金は公正ではありません、子供たちの退場を要求します!」
「子供たちが独自に考えることを条件に参加させています。子供たちの要望に応じて助言した職員はおりますが、子供たちの考え方を図書館側が誘導した事実はありません」
すかさず答えたのが稲嶺司令で、仕掛け人である隊長との意思疎通にはさすが抜かりない。
「このような参加をするという話は聞いていません!」
「それは『考える会』に賛同する立場でないと参加を認めなかったというように聞こえますが。それこそ公正ではないでしょう。子供たちが規制について自主的に勉強することこそが重要なはずです。社会活動の意義と責任を学ぶという目的は十分に果たせていると思われます」
私でも分かる、稲嶺司令の言っていることの方が筋が通っている。
とはいえ、このフォーラムにおいて図書館側が圧倒的不利な状況に立たされていることから考えると、この応酬もいつまで続くか分からない。
『大丈夫ですかね…』
小牧教官の顔を見上げながらそう言うと、教官は「うーん」と一度唸った後、「でもなんとかなるよきっと」と言った。
そのすぐ後だった。中立の傍聴者が座っているあたりから手が挙がった。
麻子がすかさず図書館側の論者の一人からマイクを借り、
「一般傍聴の方からご意見があるようですので伺いましょう」
手を挙げた傍聴者に駆け寄る。
「保護者としては子供たちの自主的な意見を最後まで聞いてみたいと思います。図書館の規制については今まで無関心でしたが、子供たちがここまでしっかり考えているのなら保護者として真面目に考えないといけませんし」
マイクを受け取りそう発言した男性に賛成の意を示すためか、拍手の音があちこちから上がった。
「ほらね?」
隣の教官は周りと同じように拍手をしながら、少しいたずらっぽく笑った。
「私たち『考える会』は教育委員会の推奨を受けて規制推進を訴えています。判断力が未熟な子供たちの意見と教育委員会の方針を同列に論ずるべきではありません。あなたは教育委員会の方針を批判なさるんですか」
「しかし、先程の発表を聞く限りアンケート内容やまとめ方もしっかりしていますし、判断力がないと一蹴できるような幼い意見ではないと思いますよ」
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アオイ(プロフ) - みさこさん» わあああ!!ありがとうございます!!返信遅くなってすみません、仲良くしてください!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
みさこ(プロフ) - 先程フォローさしていただきました。よろしくお願いします。V6大好き(女子)です (2020年3月5日 1時) (レス) id: 96340430ed (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。消したつもりになってました。申し訳ございません。すぐに消させていただきました。 (2019年8月3日 23時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月3日 23時) (レス) id: 9ac913b464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kuroki
作成日時:2019年8月3日 23時