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フォーラムでは『考える会』が教育問題を盾に図書館の自主規制を強い論調で訴え、図書館が防戦に回る構えとなった。
図書館側の論者は稲嶺司令を筆頭に原則派が列席している。
壇上の両サイドに『考える会』と図書館の論者が分かれて座り、対面式で討論するのを観客席で傍聴者が聞く形式だ。
図書特殊部隊は会場となった大講堂の警備に就き、堂上班の私たちは傍聴者に混じる形で講堂内に配置されていた。
傍聴は『考える会』メンバーと動員された図書隊員がほとんどと思われたけれど、蓋を開けると一般傍聴者が思いのほか増えた。
定員五百名の大講堂は既に席が半分ほど埋まっている。これも悠真たちが学校で行った呼びかけの結果らしい。
本気で勝ちに行くつもりらしい隊長はといえば、設営された警備本部に引っ込んでいる。表に出しておくと客に無駄な威圧感を与えるためだ。
『あのー…何で麻ちゃんあそこにいるんですか』
持ち場から壇上を見上げながら尋ねると、バディとなった小牧教官が答えてくれた。
「司会進行役で駆り出されたらしいよ。度胸あるし美人だから重宝なんだよね、彼女」
度胸あるし美人…
小牧教官、麻ちゃんのことそう思ってるんだ…
ぼんやりとそう思っていると、自分の口が小さく動いていることに気づいた。
さっきの呟きに、隣に座る教官が気付いたのかどうかは分からないけれど、とりあえずさっと体の向きを変え、壇上を見つめる。
「それではここで市内の有志中学生による研究発表です」
客席から拍手が巻き起こり、舞台袖から悠真を先頭に数人の生徒が登場した。
大丈夫かな…
悠真は遠目にも緊張がありありと分かる様子だ。
硬い表情のまま硬い声で喋り出す。
日頃の饒舌すぎるほど饒舌な様子を見る影もない。
「僕たちは中学生の立場から図書館の自主規制について考えるために、武蔵野市内の中学生を対象にしてアンケートを取りました。有効回答数は3281です。それではお手元の資料をご覧ください」
こうして子供たちのターンは始まったのだ。
彼らによって語られたアンケート結果は、図書館の本の自主規制に関して反対だという学生が大多数であったという内容だった。
発表が進むにつれ『考える会』側の傍聴席がざわざわ騒がしくなった。
中立の傍聴者も聞き入っている気配だ。
「やめなさい!」
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アオイ(プロフ) - みさこさん» わあああ!!ありがとうございます!!返信遅くなってすみません、仲良くしてください!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
みさこ(プロフ) - 先程フォローさしていただきました。よろしくお願いします。V6大好き(女子)です (2020年3月5日 1時) (レス) id: 96340430ed (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。消したつもりになってました。申し訳ございません。すぐに消させていただきました。 (2019年8月3日 23時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月3日 23時) (レス) id: 9ac913b464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kuroki
作成日時:2019年8月3日 23時