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「自由な読書を語ってやったことが花火の打ち込みじゃ相手にタダで言質をくれてやったようなもんだ。子供に自由を許してたらこのように暴力に訴える短絡さが培われるだけだってな。そうでなくとも連続殺人犯の高校生の読書傾向が取り沙汰されてるのに」
「でもっ…!」
「やめよう、僕たちは結果的に足を引っ張っただけだ。潔く負けを認めよう」
勝ち負けじゃないんだけどな…と彼らから目を逸らす。
手塚くんは単純に呆れた顔で郁は居心地の悪そうに眉をひそめている。
隣の小牧教官を見上げると、優しく微笑みながら二人を見ていた。
「すみませんでした。今から僕たちに何か挽回できることはありませんか」
「いいから…」
「その意気やよし!」
木村悠馬の真面目な申し出に堂上教官は苦い顔をしたが、その返事が終わる前に野太い声が横から台詞をさらった。
堂上教官はぎくりと声の方を向く。声の主はもちろん玄田隊長だ。
「お前らに大人のケンカを教えてやる!」
「隊長!」
ついに堂上教官が制止に入ったが、それで止まるような隊長ではない。
「お前ら、『考える会』と図書館のフォーラムに出てみろ」
「出なくていい!」
堂上教官が怒鳴ったのは子供たちに向けてである。だが、子供たちは既に興味を刺激されて目を輝かせている。
「そんな顔しても駄目だ!お前たちが入る隙間はない!」
「それを決めるのはお前じゃないな、堂上」
「隊長でもないでしょう!」
「だが俺には司令への直接交渉権がある!」
「職権乱用だ!勝ち誇っても駄目です!」
堂上教官がどんどんヒートアップしていく。
郁はその横で愉快そうに見ていた。あれはあきらかに笑いをかみ殺している。
「…どうせ勝てるわけないのにね」
小牧教官が私に耳打ちした。
『でもなんか、堂上教官楽しそうですよね』
「ふふ、そうだね」
優しく笑って小牧教官は頷いた。
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アオイ(プロフ) - みさこさん» わあああ!!ありがとうございます!!返信遅くなってすみません、仲良くしてください!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
みさこ(プロフ) - 先程フォローさしていただきました。よろしくお願いします。V6大好き(女子)です (2020年3月5日 1時) (レス) id: 96340430ed (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。消したつもりになってました。申し訳ございません。すぐに消させていただきました。 (2019年8月3日 23時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月3日 23時) (レス) id: 9ac913b464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kuroki
作成日時:2019年8月3日 23時