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青少年に悪影響を与える問題図書の貸出し制限や購入図書の選定基準などを求めた意見書は、あきらかにヒステリックな極論を下敷きにしたもので冷静な論調ではなかったが、未成年者の凶悪犯罪の直後だったことから世間の支持を集めた。
良化委員会と都議会もこの意見書を支持し、都下の図書館には各種団体のデモや抗議が後を絶たない。特に図書隊本拠地である関東図書基地と都下最大の公共図書館である武蔵野第一図書館はそれらの矢面に立った状態である。
この間も館内に火炎瓶が投げ込まれた。良化特務機関との抗争を日々凌いでいる図書館にとってはチャチな手口だが、ともあれ不穏なことに変わりがない。
もし郁ちゃんの親御さんに戦闘職種じゃないことを隠し通せたとしても、図書館自体が危険と知れば…
不安に思って郁を見ると、同じことを思ったのか重いため息をついた。
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「なんとなく三人の関係性が見えた気がしたよ」
『三人って…』
「ああ、高尾さんと笠原さんと柴崎さんだよ、ほら、お昼一緒に食べた時」
「面白いよね、三人が揃うとさ、余計に」と笑い始める。
小牧教官の上戸はちゃんと健在している。
今は館外のデモ警備の最中だ。警備対象は市内のPTA団体『子供の健全な成長を考える会』で、武蔵野第一図書館の前庭で百名ほどが集会している。
私の右隣に小牧教官、左隣に堂上教官がいて、離れた位置には郁や手塚くん、別の班の顔ぶれも見える。
「三人が面白いんじゃない、笠原がとてつもなくバカなだけだ」
そうぼそっと言ったのは堂上教官で、すかさず小牧教官が突っ込む。
「そうやって笠原さんばっか目の敵にして。結局のところどうなの、嫌いなの?」
「嫌いじゃない、目障りなだけだ」
「ふーん、相変わらず素直じゃないねぇ」
「黙れ」
あの、私を挟んだ状態で喧嘩すんの、辞めてもらえませんか…笑
なんだか居づらくなったので、話題を変えようと思った。
壇上の演者を見つめる。この警備もあと少しのようだ。
『無事に終わりそうですね』
「ふふ、そうだね」
ちょっと笑って見つめられた。
小牧教官には話題を変えようとしていることがバレたらしい。
はずかしー!!!と心の中で叫んだとき…
パン!という乾いた破砕音が弾けた。続けて数発。
「ロケット花火だ」
堂上教官の低い声が耳に届いた。
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アオイ(プロフ) - みさこさん» わあああ!!ありがとうございます!!返信遅くなってすみません、仲良くしてください!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
みさこ(プロフ) - 先程フォローさしていただきました。よろしくお願いします。V6大好き(女子)です (2020年3月5日 1時) (レス) id: 96340430ed (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。消したつもりになってました。申し訳ございません。すぐに消させていただきました。 (2019年8月3日 23時) (レス) id: deeb297800 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月3日 23時) (レス) id: 9ac913b464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kuroki
作成日時:2019年8月3日 23時