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第26話 ページ28

5分ほど待っていると、マオが教室から出てきた。
「ユウは結局どうしたの?」
「動けないし、テレポートで僕の家に送っといた。2人に、またな だって」
「テレポ…便利だねぇ」
私が感心していると、ふと思いついたようにマオが言う。
「あ、じゃあ外までそれで行こうか?」
「え?」
「え、本当?楽しそう」
亜美が目を輝かせる。
「じゃ、いくよ!」
マオは人差し指を立て、私たちの上の宙に円を描いた。
まばたきをすると、景色が変わった。ここは…最初の、学校の門か。
「少ししかたってないのに、なんかこの門懐かしいわね」
テレポートについては意見を言わないまま、亜美は話し始めた。
おそらく、この程度は慣れてしまって驚かないんだろう。私もそうだ。

「あ!」
私の頭の上30センチほどの空間から、私が部屋で見つけたのと同じケータイが現れた。慌ててキャッチする。
「同じやり方で帰るってこと?部屋のケータイが出口なのかな」
「多分ね。…あ、そういえば君たちの服も直さないと」
一瞬自分の体に水をかけられたような感覚が走る。服を見ると、穴はすっかり元通りだった。
「ありがと!これもだけど…今日一日」
私は頭を下げる。
「マオにはいろいろやってもらったわね…まあ、居なかったら死んでたくらい?ありがとう」
亜美も笑って言った。マオは、いや、と首を横に振る。
「結構迷惑もかけてたと思うし…お互い様?」
3人で笑い合う。これがお別れだとは、どうも思えなかった。


手に持っていたケータイを開けると、「戻りますか?」の文字と「はい、いいえ」の選択肢。
私は「はい」を選び、ボタンを押した。
ケータイは少しずつ大きくなった。風は発生しなかった。自分で飛び込め、ということらしい。
「またね」
私はそう言った、お決まりではあるが、やはりこう言わざるを得なかった。
「うん。また会おうね」
マオが笑って手を振った。私と亜美は2人で、画面に飛び込んだ。

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:埣空 碧(さいくう あお) | 作成日時:2013年4月20日 19時

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