第20話 ページ22
目を開けると、そこはもう学校ではなかった。
黄色…というより、セピア色と表したほうが良いのかもしれない。
その色のついた空間に、黒い岩や石が浮かんでいる。
私たちが座っているのは、その岩の一つだった。
亜美が横で、「へぇ…面白い」と呟く。
「ユウの言いたいことがわかってきたわ。私の予想が当たってれば、ここはマオの心ってとこかしら?」
その言葉を頭の中でゆっくり再生しなおし、やっと少し理解する私。
「ユウがマオを止めるまで座って待ってればいいのかな?」
「そんなことはなさそうよ。ほら」
亜美はそう言って私の肩をつかみ、自分のほうへ引き寄せた。
―私の横を、小さな石がとんでもない速さで飛んでいった。
「…えっ?」
「ほら、風が吹いてるじゃない?感じはしないけど。これで飛ばされてくるのね、さっき教室のドアを揺らしたのもこの風かしら」
混乱する私に、落ち着いた口調で亜美が説明してくる。確かに風の流れのようなものが見える。
「お姉ちゃん、なんでそんなことわかるの?」
「私にも解らないわ。けど、わかるの」
そう言いつつ、亜美は身をかがめ、頭上をすぎる石をよけた。
「この速度で当てられたらどうなるかわからないからね…飛んでくる方向も位置も、なぜかわかるし避けておきたいじゃない?」
「『こっち来ないと死ぬ』って、これのこと?」
「でしょうね。自分でもわからないわ」
私の頭が押され前かがみになる。多分、上を石が飛んでいったのだろう。
…あの、お言葉ですが、声かけるとか、せめてもっと優しく押してください。
しばらくして、突然、学校の景色が目に入った。
「…終わったの?」
姉に引っ張られたり押されたりして痛む首をさすりながら上を向く。
「おう、つかなんでアレ避けられてたんだ?あんなの飛ぶとは思ってなかったから後で回復かなって思ってたんだが」
「さあねぇ。知らないけど分かるのよ」
ユウが苦笑しながら教室のドアの前に座った。そして、ピアスを付け直す。
「…えと、ユウ、そのピアスは…」
「リミッターだよ」
私が質問をしようと話し始めたところで、聞き覚えのある声がした。
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作者名:埣空 碧(さいくう あお) | 作成日時:2013年4月20日 19時