五笑 ページ5
__三年前、冬
「副長、ホントに寒くなりましたね」
「そうだな…これを機に近藤さんに炬燵でもねだってみるか」
その日、俺は原田と共に雪のハラハラと舞う城下を見廻りしていた
クリスマスも終わり、今は年末。真選組ができてそろそろ丁度一年が経とうとしていたが、年末の忙しさは夏休みシーズンの比じゃない
出来たばかりの真選組にはまだ炬燵という物はなく、俺たちはカイロを何枚も体に貼って寒さを凌いでいた
「あ、そういえば今日、松平のとっつあんが直々にヘッドハンティングしたっつー新人が配属される日じゃねぇでしたっけ」
「あー…んなこと言ってたような言ってなかったような」
「ちょっとしっかりして下せェよー」
(こんなクソ忙しい日にわざわざ新人なんて配属するか、普通)
あの自由奔放なオヤジの顔を思い浮かべてため息をついた
新人ならば色々教育等々しなければならないわけであって、当時俺は副長でありながら新人教育の仕事も兼任していた為ホントにうんざりしていた
ただ、仕事が増えるだけだろうと
「新人教育なんて山崎にやらせときゃ良いでしょ、アイツにゃアンパンやっときゃ働きますぜ」
「それもそうだな。今度の会議で新人教育は山崎に回すと提案しよう。原田、賛成に一票頼んだぜ」
「うわぁ、悪いお人だ」
豪快に笑う原田と喋っているとこちらもつられて笑ってしまう
特にコイツから出るマガジンの話題や、下らねぇ女と男の話何ぞは俺に縁が無いからかとても面白い
最近マガジンを購読し始めたのもコイツの影響だ
「副長はいいよな、冬はその長い髪の毛で頭が守られてよォ」
「帽子かなんか被れよ、お前の頭は見てるこっちも寒くなる」
屯所に帰るまで、こんなくだらない話をするのが俺の日課だった
だが、今日は屯所の前にデカく黒光りする高級車が一台
「やべぇ、お前の頭の話してたらすっかり忘れてたわ」
「いや、人のせい!」
そう叫ぶ原田を無視して急いで屯所に入った
走るたびに高い位置で結んだ長髪が左右に揺れた
もう集まっているだろう近藤さんの部屋の襖を開けた
「すまねぇ、近藤さん‥・遅れちまって…!!」
バンッ、バン、と銃声が二つ
俺の頭の上と股の間を二発の弾がすり抜けた
「おせぇんだよ…トシィ」
「とっつあん…」
ふんぞり返りながらリボルバーの煙を吹くとっつあんと、隣にはじっとこちらを見る女が座っていた
(は、ちょっと待て…女、だと?)
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めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは。届くか分かりませんが、終わりなんですよね。どうなったか知りたかったです。素敵なお話、ありがとうございます! (5月14日 2時) (レス) @page12 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
零 - ヤダコレ土方さんがめっちゃかわいい,,,泡抹(ひゅーず)さん書いてくれてありがとうございます!癒されました(笑) (2018年11月3日 14時) (レス) id: 4b47465209 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(ひゅーず)(プロフ) - まっちゃむーしゅさん» コメントありがとうございます!土方さんはカッコいいイメージが強いのですが、私は可愛い土方さんも大好きで...。可愛い土方さんが書けてたら嬉しいです (2018年11月1日 22時) (レス) id: 9351272389 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃむーしゅ(プロフ) - え、、、あの、、、好きです (2018年10月31日 17時) (レス) id: ea9a3f21f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡沫(別垢) x他2人 | 作成日時:2018年10月14日 1時