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今後、の話 ページ32

「私が工藤先生の日本の中継秘書になった話はもう優作さんから聞いてると思う」

「ああ、聞いてる」

眉をひそめたまま、脚を組み替えてコーヒーを口元に持っていく新一くん。
私は言葉を選びながら、慎重に続けた。

「この間も言った通り今はまだ詳しく話せないけど、君が推理したように私は表には言えないような仕事をしている。
優作さんは私の正体を知っていたうえで私を雇い、君を私に任せると言った」

「はぁ?親父が?」

コーヒーのマグを机に置きながら、いかにもわかりかねると言った表情でこちらを見た。

「うん。この辺はややこしいと思うから、気になることは君から優作さんに聞いてもらいたい。私が教えていい範疇を超えてしまうといけないからね」

「それで?」

「それで、今後私は裏稼業をメインに仕事をするから、君やこの家とはしばらく距離を取る。
私は基本、足を探られることのないよう本拠地を持つことはないから、もし、私の力が必要になった時はここに連絡して」

ス、とカウンターの上を滑らせる様に、11桁の番号だけが書かれたカードを渡す。
それを受け取った新一くんはカードを表裏見たり、少し怪しんで机上に戻し、「あの時の親父の頼むぞって、そういう事だったのかよ」と小さくつぶやいた。

「護るって具体的に何するんだ?」

「それはその時にならなきゃ分かんないよ。とにかく裏から気にかけるようにはするつもり。探偵してて、被害者に逆恨みされて殺されるとか、嫌でしょ?」

「そんなの要らねぇよ」

「まあ、私の存在は新一くんは気にしてなくていいよ。これは私と優作さんの約束だからさ」
私もコーヒーを一口飲んだ。


大人たちが勝手にお守りを決めるというある種の赤ちゃん扱いをされて不服そうな少年は、その後もブツクサと文句を垂れていたが、私が家を出る時にはしっかりと玄関まで見送りに来てくれた。


工藤邸を出て、ふらふらと駅前のホテルに向かって歩く。

工藤先生にも正体が完全にバレていたと判明してしまったし、これでもうもうオンボロアパートに住む必要も無くなったので、大家さんと話をして昨日引き上げてきた。

数ヶ月間毎日通い詰めた場所や普通の生活をするために用意した寝床を急に失って、ちょっとした喪失感を得ている。

また暇でつまらないホテル暮らしに戻ってしまったのかぁ。

なにか新しい暇つぶしを見つけないと……




あ、

ウイスキートリオの教育が始まるんだったな。

久々の背中→←ニュー・ライフ



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よしのん - すごい好きです。応援してます! (2022年4月19日 12時) (レス) @page32 id: e3b8c03485 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます!! (2022年4月18日 19時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいすな - 夢主のキャラ大好きです。新人との関係気になります! (2019年2月16日 22時) (レス) id: a004368014 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者A | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/zero1632  
作成日時:2018年12月26日 7時

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