424話 ゼロの執行人 ページ25
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目的の場所――…東京地検にたどり着くと、大型の人員輸送車が停まっており、避難が始まっていた。
隣に建つ警視庁では停電が起こっているようで、すでに人の気配はない。
車を降りて、俺たちは避難する人たちの波に逆らって走る。
「NAZUはコードを送り続けているが、やはり探査機にアクセスできないようだ」
急がないと、時間がない…。
東京地検の建物の中に入り、急いで逃げる人達の中から犯人を捜す。
少ししてコナンが足を止めた。
前方から歩いてくる男。
周りが走って避難する中、悠々と歩きながら、スマホを片手に。
こいつが…、犯人…。
コナンはすれ違い様、彼の袖を掴み、引き止めた。
持っていたスマホが地面を滑る。
それを拾い上げる零さん。
「それはNAZUの地上局で見られるデータだよね。テロの犯人さん」
犯人――…日下部誠検事は、驚きの表情で固まった。
「まさか日下部検事…貴方だったとはね」
「なんだね、君たちは」
日下部はコナンの腕を振り払い、平静を装った。
「もっと早く気づくべきだったよ。あんたが申請した証拠一覧を見たときにな」
俺が過去にヒントを出していたことに、コナンは気づいたのだろう。
ちらりとコナンは俺を見た。
『あのガラス片は、犯人しか知り得ない本当の発火物の一部だったんだ。貴方はそれを証拠申請してしまった。発火物がまだ、高圧ケーブルだと思われていたときにね』
そう突きつけると、日下部は悔しそうに表情を歪めた。
そのとき、スマホのバイブ音が響く。
「ナイスタイミング」
コナンが自身のスマホを取り出す。
赤いスマホではなく、白いスマホ。
工藤新一のスマホだ。
栗山さんに頼んでいた資料だろう。
だけど、新一兄ちゃんに送ってと言った資料がここに届き、スマホはさっき零さんにも見せたものと違うもの。
このままじゃ、バレてしまうんじゃないのか…?と思うが、零さんは何も言わない。
それにコナンもさっきから、子供としての素振りは一切見せていない。
もうフォローしきれないな。
どうにでもなれ。
でも零さんももしかしたら、言わないだけで薄々気づいているのかもしれない。
零さんはどこか、コナンを子ども扱いしているようには感じないし。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時