371話 ページ22
「緒川さんのストーカー?それは糸井くんだったんじゃ…?」
『いえ。糸井くんの自 殺も、緒川さんのストーカーも、全て犯人による偽装。犯人はストーカーの件を糸井くんに擦り付け、彼を絞殺して、自 殺に偽装した』
「じゃあ、糸井くんの鞄に入っていた手紙は…」
『犯人が彼をストーカー犯に仕立てるために鞄に入れたんです。もちろん、あの遺書も。おそらく糸井くんは、先週の金曜日、緒川さんに付きまとっていたストーカーの正体を知ってしまった。その口封じに、罪を擦り付けられ、殺された、というところでしょう』
「ちょっと待ってよ、じゃああのときどうして糸井は私をつけていたの…!?」
蘭に支えられた状態の緒川が眉を歪めながら声を荒げる。
『…彼は、本当に緒川さんが好きだったんだよ。君がストーカーに悩んでいることを知って、部活が休みだった先週の金曜日、君をつけて守っていた。でもそこで、ストーカーの正体を知ってしまった』
「じゃあ誰なのよ!そのストーカーって…!」
『それは…』
俺はある人物を視界に捕らえ、その名を告げた。
『貴方ですよね。バスケ部顧問、笹川先生』
その場に動揺が広がる。
「な、何を言っているんだ!私が緒川のストーカーで、糸井を殺した犯人だと言っているのか!?」
『そうですよ。貴方は先週の金曜、緒川さんをつけているところを糸井くんに知られてしまった。だけど、誰かに言えば緒川さんに何かをする、などと言って脅した。でもまじめな糸井くんがずっと黙っている保障なんてない。だから殺した。自 殺に見せかけて。そうでしょう?』
「何を馬鹿なことを…。そんな証拠がどこにある!」
『貴方さっき俺に言いましたよね?“勝手に部室を開けて”と。どうして俺が部室を開けたことを知っているんです?見ていたんですよね?廊下の角から。それに、鍵を閉められるのは部長である糸井くんと、教員であり顧問である貴方だけ』
「そんなの、お前が勝手に部室に入っていたから言ったんだ!鍵だって、職員なら誰でも開けられる!」
激昂する笹川だが、顔面に焦りが見え始める。
『貴方が緒川さんに下心を持っていることなんて見てれば分かります。さっき送っていく、なんて言っていましたが、弱った彼女の心の隙間に入り込むつもりでした?』
それか、手っ取り早く既成事実でも作るつもりだったか…、とは高校生たちの前では言えないが。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時