218話 ページ19
シャンプーをしながら考えていると、浴室の外に気配を感じた。
零さんが着替えを置きに来たようだ。
『ねぇ零さん』
この際だから、聞いてみようかな。
扉越しなら聞ける気がする。
『零さんは、好きな人いないの？』
すりガラス越しに見える影の動きが止まった。
「…そういう存在を作るだけ無駄だって、知ってるだろう？」
…まぁ、そうか。
大切な存在を作ると、それは弱みになる。
だから俺も繋がっていた友人との関係も、ゼロに所属するにあたりすべて断ち切った。
「Aはいたのか？好きな人」
『まさか。でも、ここでは関係ないし、そういう人を作ってもいいのかなって』
きゅっとノズルを捻って頭からお湯を被り、泡を流していく。
『…そう思ってたんだけど。零さんの傍にいるって約束したから、ここでもそういうのは無縁かな』
「…ふは、告白みたいだな」
扉の向こうで零さんは吹き出した。
どんな顔で笑っているのか気になった。
気づけば扉を開けていた。
驚いた様子の彼と目が合う。
「どうした…？」
『…いや、どんな顔して笑っているのか、気になって』
ぽたぽたと雫が落ちるのも気にせず、彼を見つめる。
残念ながら笑っている彼を拝むことは出来なかった。
だけど。
「…なんだそれ」
眉を下げて、困ったように笑う彼にきゅっと胸が締め付けられた。
「着替え、ここにおいておくから。ちゃんとあったまれよ」
手をひらひら振って脱衣所から出る零さんの背中を見送り、浴室の扉を閉めなおした。
…いやいやいやいや、だめだろう!?
頭からシャワーを浴び、両頬を押さえる。
何ドキドキしてるんだ俺は…!!
零さんだぞ、男だぞ!!
恋愛なんてしたことないから、何か錯覚を起こしているんだ、そうに違いない！
『……はぁぁ〜…』
この世界で頼れる人が少ないから…、優しくしてくれる零さんに心を開きすぎているだけだ。
意識するな。
彼はただの同居人。
恋愛なんてしても無意味だという会話を、今したばかりだろう!?
パアンッと両頬を挟むように叩き、気を引き締める。
『よし』
ボディーソープで体を洗い、浴室の扉を開けるといい香りが漂ってきた。
この匂いは、俺も嗅ぎなれたあの匂いだな。と考えながら体を拭いて、用意された着替えに腕を通した。
・
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優(プロフ) - わかりました！返信ありがとうございます！ (2019年5月8日 7時) (
レス) id: 2e7cf744fc (このIDを非表示/違反報告)
096 - 優さん» コメントありがとうございます！この作品は、主人公受けとなっております！ですが、細かい描写はございません。 (2019年5月7日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - これって、黒瀬さんと零さん、どっちがネコとかありますか？ (2019年5月7日 2時) (レス) id: 2e7cf744fc (このIDを非表示/違反報告)
096 - 架印�靴気�» 報告ありがとうございます！！確認不足でした...！修正させていただきました！ (2019年4月30日 18時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 誤字報告：247話 - 真純ちゃんの純の字が、澄になってます。 (2019年4月30日 17時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2019年4月10日 21時
