219話 ページ20
タオルを首にかけて、髪を拭きながらリビングに戻る。
『…インスタントラーメンの匂い』
併設されたキッチンで鍋の前に立っていた零さんに近づく。
「この家にはあまり帰らないから、食材がなくてな」
『なんだ。零さんもこういうの食べるんだ。俺には栄養が〜とか言ってたくせに』
「食材があればちゃんと作る。お前とは違ってな」
嫌味だぁ。
『零さん、ONとOFF激しそうだもんね。俺の前ではだらだらしてもいいんだけど』
「…そのうちな」
…おっと、不意打ちやめてくれ。
緩みそうになる気持ちを引き締めるためにほっぺを抓る。
「…何してるんだ？」
変なものを見る目で見られた。
『なんでもない。食器出すけど、どこ？』
「後ろの棚にある」
言われた棚を開けるが、中はスカスカだった。
かろうじてあったお椀と箸を2つずつ取り出し、リビングのローテーブルに並べる。
ふと顔を上げると、東京の夜景が目に入った。
窓に近づき、夜景を見下ろす。
俺が生きてきた世界と別世界だと忘れそうになる。
この世界には、真白楓を知っている人は誰もいないんだ。
「真白」
『え…っ』
急に本名を呼ばれ、驚いて振り返った。
鍋を片手に、零さんが俺を見つめていた。
『…なんでそっちで？』
「…普段は見ない顔をしていたから。真白の方だと思って」
『嫌だな、零さん。真白楓は死んだよ』
そう言って笑うと、零さんは鍋をテーブルの上において俺に近づいてきた。
真剣なその表情に思わず後ずさる。
トン、と背中が窓ガラスにぶつかり、逃げ場がなくなった。
『…えっと、零さ…』
「ちょっと黙って」
追い詰められ、顔の横に零さんの手が付く。
戸惑っていると、唇に何かが触れる感触。
目の前に広がるのは、端正な顔立ち。
『…ん、っ!?』
あれ、なにこれ。
俺もしかして…キス、されてる…？
なんで…？
呆然としていると、唇が離れ、近距離で零さんと目が合う。
「A」
『……はい』
「ラーメン伸びるぞ」
なんでもないように俺に背を向けて食卓に座る。
『あ…うん』
俺もその後に続いて座り、一緒に手を合わせてラーメンを啜った。
零さんがラーメン食べてるの、新鮮だなぁ、と思いつつも一言もしゃべらずに俺たちは食事を終えた。
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優(プロフ) - わかりました！返信ありがとうございます！ (2019年5月8日 7時) (
レス) id: 2e7cf744fc (このIDを非表示/違反報告)
096 - 優さん» コメントありがとうございます！この作品は、主人公受けとなっております！ですが、細かい描写はございません。 (2019年5月7日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - これって、黒瀬さんと零さん、どっちがネコとかありますか？ (2019年5月7日 2時) (レス) id: 2e7cf744fc (このIDを非表示/違反報告)
096 - 架印�靴気�» 報告ありがとうございます！！確認不足でした...！修正させていただきました！ (2019年4月30日 18時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 誤字報告：247話 - 真純ちゃんの純の字が、澄になってます。 (2019年4月30日 17時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2019年4月10日 21時
