2103話 ハロウィンの花嫁 ページ4
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「じゃあ、俺と班長は中目黒駅まで歩くから。ゼロと黒瀬はこの後も頑張って。松田もまたな」
寺を出て、景光さんと伊達さんと別れ、俺と零さん、松田さんは駐車場へ向かった。
景光さんは別件の仕事なのか、それとも今日は非番なのだろうか。
「A、後ろでいいか?」
『あ、うん』
頷いて、後部座席へ乗り込む。
松田さんが助手席に乗り、零さんも運転席に座った。
この2人が並んでいる背中を見ることが出来るなんて思ってもいなかったな。
車は渋谷の中でも人気のない路地を進んでいく。
「お前のことだから、捜一で迷惑かけてるんじゃないか?」
「ふん。こっちは行きたくもねぇ課に飛ばされたんだ。おかげで小煩い女刑事が指導係につきやがってよ」
言葉の割に、松田さんの声色は優しい。
小煩い女刑事…、もしかしたら佐藤刑事のことかもしれない。
佐藤刑事に対して松田さんも、いい印象を持っていたのかもな…。
「今日も朝っぱらから、その女刑事と強盗犯捕まえて、暴走したバス止めて、自 殺志願者の制止して、殺人事件の現場に行ってきたんだ。ほんと、物騒な街だよな」
「意外と真面目に働いてるじゃないか」
「意外は余計だっつの。それより――…そろそろ背中に穴が開きそうだ。そんなに見つめてどうしたよ」
『…えっ』
急に松田さんが振り返ったので肩が跳ねた。
松田さんと零さんが話している姿が嬉しくて、無意識に見つめすぎてしまったようだ。
『あ、いや…なんか、いいなぁって…』
現実では見ることの出来ない光景。
同期と話している零さんも新鮮だし、何よりもういない松田さんが動いて喋っているのが何とも言えない気持ちになる。
「なんだそれ」
「堂々と浮気か」
笑う松田さんとハンドルを握る手に力が籠る零さん。
てか、やっぱり付き合っているのか。
『そんなんじゃないってば…』
「嫉妬深い男は嫌われるぜ?」
「うるさい」
…この人たちの前では、隠し事もなく降谷零でいられたんだろうな…。
明日――…松田さんは殉職してしまう。
その訃報を知った時の零さんは……。
…いや、それはもう過ぎたことだ。
これからの未来を俺には変えることはできない。
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096 - りりこスタイルさん» ありがとうございます!ハロ嫁編も楽しんでいただけると嬉しいです!頑張ります! (2023年1月21日 14時) (レス) id: e1a95a9e3f (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - ハロ嫁始まりましたね。楽しみにしてました!黒瀬くんがどう入るのか!楽しみにしてます。頑張ってください!! (2023年1月21日 10時) (レス) @page20 id: 73af74b72d (このIDを非表示/違反報告)
096 - フウマさん» ありがとうございます!黒瀬を加えたハロ嫁編、どうぞお楽しみください!更新頑張ります! (2023年1月19日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
フウマ(プロフ) - ハロ嫁編、映画を2回見に行って犯人、わかっているのですが、それでもワクワクしちゃいます!更新頑張ってください! (2023年1月18日 23時) (レス) @page18 id: 7ebf4026aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - ちるちるさん» 5回目!!?ありがとうございます!!そんなに読んでいただけるなんてとても嬉しいです!ハロ嫁編も楽しんで頂けるよう頑張ります! (2023年1月17日 13時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2023年1月1日 22時