1703話 ページ4
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『…暑い。でも冷たい。ったく、人遣い荒いんだから…』
大量の氷が入った袋を抱えて、俺は道を急いでいた。
夏の残暑がじわじわと体力を奪う。
夏が終わりかけと言っても、まだまだ暑い日は続いていた。
そんな中、ポアロは夏限定のカキ氷が飛ぶように売れていた。
夏休みが終わり、学校が始まった学生たちが、放課後にこぞって涼みに来ているのが原因だ。
そのピーク時に、カキ氷用に仕入れていた天然のブロック氷が底をつきそうになった。
でも梓さんも安室さんも接客が忙しく買いに行く暇がない。
そこにたまたま来店したのが俺だった。
氷を買いに近くのスーパーまで向かったが、持たされたエコバックには大量の氷は収まりきらず、結局両脇にも抱えてお遣いの帰りを急いでいたのだ。
重いが、これくらいは苦ではない。
でも急がないと氷は溶けるし、この暑さといってもずっと脇に抱えているのはさすがに冷たい。
さっさと帰って体の内側を冷やすため、俺もカキ氷を注文しよう…と心に決めて早足で歩いていたのだが…。
『あっ…!』
外装の結露で滑りやすくなっていた氷の袋はつるっと俺の脇から滑り落ち、地面に落下した。
早く拾わないとコンクリートの熱で溶けてしまう。
だが、もう片方の脇に挟んでいる氷と、エコバックに入った大量の氷がしゃがみたい俺の体勢を邪魔してくる。
『もー…』
半ば諦め、一度全部下ろして体勢を立て直そうかと考えた時だった。
「大丈夫ですか?」
やけに低音のいい声が俺の耳に入り込み、地面に落ちた氷の袋を拾ってくれた。
『あ。ありがとうございます』
パッと顔を上げると、スーツを着た切れ長の目の男性と目が合う。
スタイリッシュな口髭を蓄えた…どこか――…誰かと面影が重なる男性だった。
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096 - つみさん» 一気読みありがとうございました!そしてお疲れ様です…!!もう一周…!嬉しいです!これからも頑張ります! (2022年1月1日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
つみ(プロフ) - やっと最新話まで読めました!一気読み楽しかったです!もう一周してきますね!更新頑張ってください! (2021年12月31日 23時) (レス) id: 5c8f437fce (このIDを非表示/違反報告)
096 - ??さん» ありがとうございます…!何周もしていただいて嬉しいです…っ!これからもいろんなお話を書いていきますので、よろしくお願いします!! (2021年12月13日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 今まで出会った小説の中で1番好きでもう何周もしています。何回読んでも泣ける素敵なお話で大好きです!緋色の弾丸や次の映画がこの小説にも登場するのが楽しみです!!これからも応援しています。 (2021年12月13日 11時) (レス) id: b0630737aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - 伶さん» 初めまして!見つけて読んでくださり、さらには日課にしていただきありがとうございます!頑張って毎日更新してますので、これからもよろしくお願いします! (2021年12月10日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年11月16日 22時