1722話 キッドVS高明 狙われた唇 ページ23
「そうでしたか。では、毛利さんの助手、ということですか?」
『いえ、毛利さんは俺の雇い主の師匠というか…。毛利さんの助手もたまにしますけど、俺の雇い主は別にいて――』
それが、貴方の弟の親友だと、伝えることは出来ない。
そもそも零さんと諸伏警部に面識があるかどうかも分からないが…、俺の口から言えることは今回も何もない。
「では、探偵助手の貴方の意見もお伺いしたいのですが、今回の件、どう思いますか?」
『…今回の件というと、キッドのことですか?それとも…』
質問で返すと、諸伏警部はジッと俺を見つめ返してきたのち、フッと笑った。
「そういえば、仰っていましたね。“事を謀るは人に在り、事を成すには天に在り”…。作戦を考え、実行するまでは人間のすることだが、結果は天が決めることで人智の及ぶところではない、と」
『天は悪行を見過ごさない。それは警察である貴方も同じでしょ?』
「もちろんです。……長話してしまいましたね。そろそろ戻りましょう」
俺の横を通り過ぎる諸伏警部。
『諸伏警部』
踏み込んではいけないと分かってはいるけど、知りたかった。
『…弟さんって、どんな方ですか?』
足を止めて振り返る諸伏警部は、真意を探るように俺を見つめてきた。
『…俺も一応探偵ですし、もしかしたら何か協力できるかもしれないと思って』
「……そうですね。弟は、幼いころに生き別れて以来こまめに連絡は取っていました。何度か会ってもいましたが。…優しく、正義感に溢れた…強い子です」
慈愛に満ちた瞳と声。
生き別れだなんて、2人の過去に何があったのかは分からないが…仲の良い兄弟だったんだろう。
それに、容姿ではなく性格を答えるということは、弟の立場を察している証拠。
俺に余計な情報を与えないようにしている。
『…諸伏警部も、優しいお兄さんですね』
これ以上は踏み込めない。
俺が知らなくてもいい領域だ。
『戻りましょうか。引き止めてすみません』
諸伏警部は、信用できる人間だ。
もしもの時が来ても、きっと大丈夫。
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096 - つみさん» 一気読みありがとうございました!そしてお疲れ様です…!!もう一周…!嬉しいです!これからも頑張ります! (2022年1月1日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
つみ(プロフ) - やっと最新話まで読めました!一気読み楽しかったです!もう一周してきますね!更新頑張ってください! (2021年12月31日 23時) (レス) id: 5c8f437fce (このIDを非表示/違反報告)
096 - ??さん» ありがとうございます…!何周もしていただいて嬉しいです…っ!これからもいろんなお話を書いていきますので、よろしくお願いします!! (2021年12月13日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 今まで出会った小説の中で1番好きでもう何周もしています。何回読んでも泣ける素敵なお話で大好きです!緋色の弾丸や次の映画がこの小説にも登場するのが楽しみです!!これからも応援しています。 (2021年12月13日 11時) (レス) id: b0630737aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - 伶さん» 初めまして!見つけて読んでくださり、さらには日課にしていただきありがとうございます!頑張って毎日更新してますので、これからもよろしくお願いします! (2021年12月10日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年11月16日 22時