1594話 14番目の標的 ページ45
「そういやあんた、奈々ちゃんに恥をかかされたっけ」
宍戸さんが仁科さんに目を向けた。
「ち、違う!私は殺してない!」
「そう。貴方は殺される側だ。犯人は海中レストランを爆破することで、泳げない貴方を溺れ死にさせようとしたんです。ところで白鳥警部、仁科さんに人工呼吸をする際、まず何をやりましたか?」
「はぁ?何をって…頭を後ろに反らせ、首を持ち上げ気道を確保することですよ」
「では、黒瀬。さっきどうして、自ら人工呼吸をすると言った沢木さんを止めて、白鳥警部にその役目を任せた?」
推理中に突然こうやって話を振られることにも、もう慣れたな…と思いながら肩を竦めた。
『どうしてって…、人工呼吸をするフリに見せかけて鼻と口を塞がれたら、仁科さん死んじゃうでしょう?』
俺の言葉に、ハッと息を呑む音が聞こえた。
「ま…まさか…」
「そうです。旭さんと奈々さんを殺害し、辻さんと仁科さんを殺そうとした犯人…。それは、沢木公平さん!貴方だ!」
毛利さんの名指しに、本人も驚きを見せていた。
もちろん演技だと俺にはバレバレだが。
「毛利さん!私だってボーガンで狙われたじゃないですか!」
「あれは貴方が前もって仕掛けておいたものです。昨夜、このアクアクリスタルで旭さんを殺害した後でね」
「では、テーブルの下に落ちてた置手紙も」
「俺たちに電話してきた秘書もか?」
「ええ。すべて沢木さんでしょう。もちろん、奈々さんに夜光塗料入りのマニキュアを贈ったのもね」
「動機は!?動機はなんなんだ!?」
目暮警部が俺と毛利さんを交互に見る。
『詳しいことは知りませんが、おそらく味覚障害に関係があるのかと』
そう言って沢木さんを見やる。
『味覚障害は精神的ストレスや頭部外傷が原因となることがあるんです』
「頭部外傷…。それじゃあ、奈々さんが起こした交通事故の相手が、沢木さん!?ちょちょちょちょっと待ってくれ!君は味覚障害と言うが、奈々さんの持って来たワインの銘柄を当てたじゃないか!」
『彼はワインの色と香りだけで銘柄を当てられたんです。残された視覚と嗅覚だけを頼りにソムリエを続けてたんでしょう』
「だがそれは、完璧なソムリエでありたいという沢木さんの美学に反することだった。だから沢木さんはソムリエの仕事を捨て、田舎に帰ることにした」
なるほど。
復讐が終わったら田舎に逃げるつもりだったのか。
・
411人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
096 - ふぇおさん» こちらこそ、嬉しいお言葉ありがとうございます!寒暖差が激しいので、ふぇお様も体調にお気を付けくださいね。これからも応援よろしくお願いします! (2021年10月17日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇお(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいてます!!!体調を崩さない程度に更新してくださいね、応援してます頑張ってください!!神作をありがとう!!! (2021年10月17日 0時) (レス) @page20 id: c548f35cab (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!楽しんで頂けるよう頑張ります! (2021年10月3日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 096さん» 映画ストーリーは好きです、頑張って下さい (2021年10月2日 16時) (レス) @page6 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!! (2021年10月1日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:096 | 作成日時:2021年9月28日 21時