1576話 14番目の標的 ページ27
「皆さん、念のためにお聞きしますが、村上丈との関係は?」
「あるわけないじゃない、そんな男」
目暮警部の問いに、小山内さんが真っ先に答えた。
「私はありますよ」
そう答えたのは仁科さんだった。
「エッセイストになる前は、犯罪ルポライターをやってましたからね。村上の事件を取り上げたことがあります」
「俺もあるな」
仁科さんの次に口を開いたのは宍戸さん。
「前に“殺人犯の肖像”という写真集で村上丈を撮影したんだ」
「その時何かトラブルは?」
「別になかったよ」
宍戸さんがそう話す横で、小山内さんが突然何かを思い出したかのような反応を示した。
『小山内さん、何か思い出したことが?』
「…その人、8日前に出所したんだよね?」
『ええ』
「じゃあ関係ないや。えっ、あ、やぁだ!みんなマジになっちゃって!もうこんな話やめようよ」
そうはぐらかす彼女だったが、明らかに何か心当たりがあって、それを隠した。
彼女は唐突に立ち上がり、おちゃらけた表情から一変して仁科さんを指さして睨みつけた。
「それより、あんただろ!“パリのレストラン”とかいうだっさい本書いたの!あれに載ってたオススメの店、超まずかったよ!あんたほんとに味分かってんの?」
「失敬な!分かってるに決まってるじゃないですか!」
「だったら証拠見せてよ」
「証拠?」
「私、旭さんにお土産持って来たんだけど、これなんていうワインか当ててごらんよ」
「ブラインドテイスティングですか。いいでしょう」
突如始まった喧嘩に呆れながらも、重要なやり取りかもしれないのでその行方を見守る。
すぐにテイスティングの準備がされ、グラスに注がれたワインを仁科さんは一口含んで味わう。
「…この優雅なスミレの香り…、ビロードの舌触りと喉越し。かのフランス皇帝、ナポレオンの愛した、“シャンベルタン”ですね」
そう答えた仁科さんだったが、小山内さんは大笑い。
「あはははは!引っ掛かった!私がそんな何万円もするワイン、お土産に買うわけないじゃない!」
「じゃあこれは…」
戸惑う仁科さんを無視して、小山内さんはもう一つのグラスに注がれたワインを沢木さんの前に置いた。
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096 - ふぇおさん» こちらこそ、嬉しいお言葉ありがとうございます!寒暖差が激しいので、ふぇお様も体調にお気を付けくださいね。これからも応援よろしくお願いします! (2021年10月17日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇお(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいてます!!!体調を崩さない程度に更新してくださいね、応援してます頑張ってください!!神作をありがとう!!! (2021年10月17日 0時) (レス) @page20 id: c548f35cab (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!楽しんで頂けるよう頑張ります! (2021年10月3日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 096さん» 映画ストーリーは好きです、頑張って下さい (2021年10月2日 16時) (レス) @page6 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!! (2021年10月1日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年9月28日 21時