【名探偵コナン】異世界の訪問者32《男主》

1577話 14番目の標的 ページ28

「あんたソムリエだったね」

「ええ」

「このインチキエッセイストに答え教えてあげてよ」


沢木さんはワインを光に当てて色を見たあと、香りを楽しむ。
そして一口。




「…ボジョレーの“ムーラン・ナ・ヴァン”ですね」

「大正解！」

「そんな…これがボジョレー!?」

「ボジョレーも質のいいのを長期熟成させるとブルゴーニュの特級物のような味と香りが出るんです」



そのやり取りを見ながら、こそっと零さんに声をかける。





『何言ってるか分かる？』

「多少は。…ソムリエの資格は取ってないんですね」

『俺が食関係の資格取れるように見える？』

「確かに」



クスッと笑って即答した零さんの脇腹を肘で軽く小突く。



捜査官時代は食べるという行為を避けていたから、食に関する資格は必要ないと思って取っていなかった。

調理関係は以ての外だが。







「これで分かったろ？早いとこグルメエッセイストの看板は下ろした方がいいよ」

「くっ…！」



小山内さんの言葉に、仁科さんは悔しそうに歯噛みをする。



小山内さん、敵を作りやすいタイプの人だろうな。






「なんだか僕もワイン飲みたくなっちゃったなぁ」


フォードさんの一言でみんなでワインを飲むことになった。



ビールが飲みたいという宍戸さんは厨房の場所を知っているコナンを案内係に指名し、2人で行ってしまった。






『……命狙われてるかもしれないってのに悠長な…』

「まぁまぁ。ピリピリしてるよりはいいじゃないか」



仁科さんはさっきの小山内さんとのやり取りですっかり機嫌を損ねているが。



小山内さんが準備したワインをみんなに配っている。





「はい。2人も飲みなよ」


そう言ってワインが注がれたグラスを差し出されたが…。




「いえ、僕たちは」

『お酒苦手なので』

「えー？もったいなぁい」



そう誤魔化して上手く回避できた。







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