81話 ページ32
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「楓!おい!楓!」
『っ!な、何…?』
「何、じゃねーよ。ぼーっとしてんな。任務中だぞ」
あれ。
何で俺、こんなところに。
あたりを見渡すと、海と、立ち並ぶ倉庫があった。
空には大きな満月。
そして、目の前にはいるはずのない彼。
「これに失敗したら、組織の連中に怪しまれるんだからな」
倉庫の陰に身を隠し、ヒソヒソと話す彼は、俺と共に組織に潜入している公安の部下だった。
部下といっても、警察学校時代共に過ごした同期だ。
『あ、あぁ、そうだったな』
組織から与えられた任務は、最近組織を嗅ぎまわっている連中の排除。
信用され、更に組織内に深く潜り込むには、自分の手を汚し、多少の犠牲も厭わない。
「酷な仕事だな。日本を守るためにこの仕事についたのに、人殺ししなきゃなんてよ」
『これも日本を守るためだ。余計なことは考えるな』
「警察学校首席卒業のエリートは違うね」
『…しっ、やつらだ』
目線の先にターゲットと思われる男たちを見つけ、息を潜める。
この距離じゃ、拳銃じゃ届かない。
ギターケースに入れていたライフルを取り出し、暗視スコープを覗いて狙いを定める。
引き金を引いて、男の頭を撃ちぬいた。
周りにいた男たちが警戒しながらざわめく。
残りは3人。
あと1人仕留めたら、勝利も確実。
そう思いながら、もう1人に狙いを定めたときだった。
「楓!危ねぇ!!」
『え』
背後から、銃声が響いた。
反射的に振り返る。
その目に映ったのは、彼の背中だった。
月明かりに照らされて舞うのは、真っ赤な――……。
「――せさ…、黒瀬さん…!」
『ッ!!』
反射的に、体が目の前にいた男の首を押さえつけ、その身体を押し倒していた。
『は…っ、はぁ…』
「く、黒瀬さん…?」
肩で息を繰り返し、ようやく視界が鮮明になり、寝ぼけた頭が覚醒する。
目の前にいたのは、褐色肌で明るい髪の男。
彼は驚いたような目を俺に向けていた。
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鹿野ユズナ(プロフ) - いえ、お力になれたようでよかったです! (2019年4月25日 11時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 鹿野ユズナさん» コメントありがとうございます!恥ずかしながら、ずっと勘違いしておりました…。次回から気をつけます!ご指摘本当にありがとうございました! (2019年4月21日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - こめかみ、漢字変換が全てお米の神様になってます………… (2019年4月21日 5時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 大福さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも読みやすく楽しい小説を目指して頑張るので、よろしくお願いします! (2019年3月13日 20時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
大福 - 楽しく、読みやすいです。続きが気になります!次の更新楽しみに待ってます。 (2019年3月12日 16時) (レス) id: 2b112b86de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年2月11日 21時