【名探偵コナン】異世界の訪問者18《男主》

857話 紺青の拳 ページ8

5年前、リシの父親は溺れた人を助けようと海に飛び込んだ。
そこへ、酒を飲み泥酔状態だった中富が操縦していたボートが突っ込み――…。


リシの父親が助けようとした人を海に突き落としたのは、おそらくレイチェル。


正義感が強かったというリシの父親なら、必ず溺れた人を助けに海に飛び込むと踏んで…。




「ど…どういうことだレオン！お前っ…！」


聞かされた真実に顔面を蒼白にした中富が、レオンの胸倉に掴みかかった。



「離せ！」


レオンは持っていたアタッシュケースを振り回し、中富を殴る。




「リシくん、君は何か誤解をしている。父上を殺害した犯人は刑務所へ…」

「親父の死に疑問を持った僕は、この国であんたに弟子入りして予備警察官になった。そして事故について調べ始めた。弁護を担当したシェリリン・タンに近づき、禮次郎の件をネタにレオンを揺すらないかと持ち掛けたら、あっさり教えてくれたよ。そしてレイチェル。そう、彼女を通してお前たちの情報はすべて筒抜けだったのさ！」

「ならば、キッドの予告状を貼ったのはなぜだ？」

「教えてもらおうか」



レオンの疑問に便乗し、キッドも尋ねる。





「紺青の拳、そして身に覚えのない殺人事件。この2つをぶら下げれば、怪盗はきっと来る。そしてお前たちの計画を邪魔してくれる」




まんまとその罠にハマり、キッドはシンガポールまでやって来た。

どこまでも、キッドは利用されていたようだ。




「あの高校生探偵と中々に頭の冴える黒瀬さんの登場は予定外だったが、しっかりと役目を果たしてくれたよ」



あの高校生探偵は、目の前にいる怪盗の変装なんだけどね。

それに、中々に頭の冴えるって言い方は褒められてんのかわからないな。





「中富さん、あんたは盗みの疑いをかけられたところをレオンに救われたそうだが、果たしてそれは偶然かな？よく考えてみて。もしかするとそのすべてが――…」

「うああああっ！」



それ以上は聞きたくないとばかりに、中富は悲鳴を上げた。





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