【名探偵コナン】異世界の訪問者18《男主》

884話 -Side降谷- ページ35

「もう終わりなの…⁉」

「ねぇ、やっぱりおかしいよ」



配信を見ていたコナンくんがあることに気付いた。




「だって、佐藤刑事に来た電話でも今の配信でも、1億用意しろっては言うけど、どうやって渡すのかまでは指示されてないよね？普通、振り込みの口座番号を教えるとか、何時に現金持ってここに来い、とか指示があってもいいのに…」



確かに、それは僕も気になっていた。

今回の配信でその指示があるのかと思ったがそれもない。







「もしかして、Aさんを解放する気がないのでは…？」




僕の言葉に、配信を見ていたコナンくんや佐藤刑事を含めた警視庁の人間はハッとする。





「最初から裏社会に売りつける算段だったってこと⁉」

「いえ、そもそも、犯人たちの当初の計画では、誘拐相手は北條家のご令嬢だった。しかし、その場に予定外に遭遇してしまったのがAさん。犯人は北條家のお嬢様より、Aさんの方が金になると踏んだ」

「どうして…？北條財閥の方が、身代金を準備しやすいはずなのに…」

「ええ。北條氏の方が、金銭は確実。ですが、それは一時的です。定期的に金を受け取れる方法を、犯人たちは思いついてしまった」



佐藤刑事は僕の言いたいことを理解し、表情を歪めた。






「…黒瀬くんに、売春させるつもりなのね」

「……Aさんはあの容姿。そして有名人。金のある裏社会の富裕層に売りつけ、その金は自分たちが受け取る。それを繰り返せば、身代金以上の金が何度も手に入る。犯人はそう考えたんでしょう」


自分で言っていて、反吐が出る。




「もし、こちらから現金が用意できたとAさんのスマホを通して連絡し、金を受け取ったら、犯人たちはAさんとともに行方を眩ませてしまうでしょうね」

「どちらにせよ、犯人は明後日までって指定してる。時間はないよ」



コナンくんの言葉に頷く。





「さっきの映像、もう一度見せてください。何かヒントになるものが映っているかも」





もう、誰にも触れさせない。



すぐに助けてやるから、待っててくれ――…A…。






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