689話 紅の修学旅行 ページ40
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轟門を出て服部たちと別れようと思ったが、世良の姿を見つけてしまった。
どうやら住職に新一を見ていないか尋ねているようだ。
ここでこそっと去ればいいものを、服部は世良に声をかける。
「ああ、工藤やったらさっき慌てて向こうへ走っていったで。トイレにでも行ったんちゃうかな〜」
「へぇ、トイレかぁ…」
世良はにんまりとした笑みを浮かべながら服部に近づいた。
「ところで、なんだ?そのリュック」
はぁ…。
そうなるに決まってるだろ…。
「そ、そりゃあリュックぐらい持ってるがな!」
「随分重そうだけど、ちょっと中見ていいか?」
リュックを開けようとする世良に慌てる服部。
ここでバレる展開なら俺はどうすることもできない。
もう知らん。
「あ、アホ!誰が見せるかい!パンツとか見られたらあかんもんがいろいろ入ってんねん!」
「エ ッチな本とかも?」
「お、おう…エ ロエ ロでハードなやつが入ってんでぇ!」
なーに言ってんだ…。
服部は、確かに頭は冴えるが嘘をついて人を欺く分野は苦手なようだ。
「ほーう。あれ?帝丹の制服がはみ出してるけど」
「えっ!?」
リュックを確認しようと慌てだす服部。
それに世良はしてやったりと笑った。
あの中にコナンがいることは、お見通しのようだ。
「なーんてね」
それ以上追求せず、世良は去って行った。
「…おい工藤…あのキバの姉ちゃんにお前の正体バレとんのとちゃうか?」
服部の言葉に、コナンがリュックから顔を出した。
「ああ…やべぇよな…」
『実際、正体当てられたらどうすんのさ』
「…そんときはそんときだろ」
…そんな悠長に構えてて大丈夫なのかなぁ。
『…と、そろそろ俺空港に向かわなきゃ』
時計を確認して、フライトの時間が迫ってきていることに気づく。
「おう。じゃあ、またな。気ぃつけて帰り」
『そっちもね。じゃ』
結局事件に巻き込まれたけど、それでもなかなかに刺激的で楽しい旅行だった。
今度こそ…零さんと一緒に旅行に来れたらいいな…。
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096 - ちぃさん» 読んでいただきありがとうございます!深く考えていただき、嬉しい限りです…!人の数だけいろんな行動の仕方があると思います。葛藤の中で得た黒瀬の決意を、これからも見守ってあげていてください! (2019年12月22日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 別れたからってなにもしないのではなくて、世界を変えれないのなら影からサポートしたり守ったりするかも、、、。唯一の方法かなと思いました。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - やっと読めました、自分ならどーするか考えました。大好きな世界の均衡を保つ為、大好きな人を守る為にも、零さんから恨まれるくらいに嫌われてから別れるかなーって。全てが終わった時にもう一度始めからやり直す選択をするかも知れないですね。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りんねむさん» コメントとお気遣い、ありがとうございます!一気読みお疲れさまでした!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年12月17日 14時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - 初コメ失礼致します。ここ数日で最初から一気に読んじゃいました!とっても面白いです!無理なさらぬよう、更新頑張って下さい!陰ながら応援しております!(*^^*) (2019年12月16日 18時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年11月26日 23時