658話 紅の修学旅行 ページ9
『さて。その姿で誰かに見つかるとまずいし、さっさと部屋に戻るか』
だぼだぼのジャージを着てる子供連れは流石に目立つ。
それに、俺の部屋がある15階は事件があったフロアだ。
まだ世良たちがいるかもしれない。
エレベーターで14階まで上がり、そこから非常階段で上がる。
俺の部屋は非常階段のすぐ横。
先に非常階段の扉を開けて、自身の部屋の鍵をルームキーで開ける。
向こうの様子を見ると、離れた廊下の先に警察の姿が見て取れた。
京都府警が到着したようだ。
自分の部屋の扉を開けると、非常階段側の出入り口は向こうから見えなくなるため、コナンにアイコンタクトをして部屋の中に入れた。
「ふぅ…なんとか見つからずにすんだな…」
疲れたとばかり溜息をつきながら、コナンはホテルの俺の部屋に入った。
『そっちのベッド、使っていいよ』
「にしても、意外だったな。安室さんのことだから、もっと高級な旅館とかに泊まるんだと思ってた」
コナンの言葉に思い当たる節があり、「あー…」と苦笑する。
『実は、最初はそういう…高級旅館を予約しようとしてたんだ、あの人。でも、2人で行けるかも分からないのに、そんな高いところもったいない!って俺が言って…』
「はは…、オメーも苦労してんだな」
『それより、世良さん。やっぱりお前の正体に気づいてるんじゃないの?』
そう言うと、コナンの表情がぴりっと引き締まった。
「やっぱりそうだよな…。妙に探られてるし」
『自分の身近に幼児化した人間がいるからか』
ベッドにどさりと腰掛けて、コナンと向かい合う。
「思い出したんだ。俺は10年前海で、彼女や子供の頃の世良に会ってる。赤井さんにも。彼女は間違いなく赤井さんと世良の母親。名前はメアリー」
海で会ってるって…どういうシチュエーションなんだ…。
『実際世良さん自身が、薬で幼児化している人物を目の当たりにしているなら、君を工藤新一だと突き止めてもおかしくはない、か』
「今回俺が修学旅行に参加していることは、きっと世良を通して彼女にも伝わってる」
『幼児化しているはずの工藤新一が元の姿に戻っている。それが分かれば、薬の解毒剤の存在に目をつけるだろうね』
「…ああ。どっちみち、向こうの出方次第だな」
完全に敵、というわけではないだろうが様子は見たほうがいいだろう。
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096 - ちぃさん» 読んでいただきありがとうございます!深く考えていただき、嬉しい限りです…!人の数だけいろんな行動の仕方があると思います。葛藤の中で得た黒瀬の決意を、これからも見守ってあげていてください! (2019年12月22日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 別れたからってなにもしないのではなくて、世界を変えれないのなら影からサポートしたり守ったりするかも、、、。唯一の方法かなと思いました。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - やっと読めました、自分ならどーするか考えました。大好きな世界の均衡を保つ為、大好きな人を守る為にも、零さんから恨まれるくらいに嫌われてから別れるかなーって。全てが終わった時にもう一度始めからやり直す選択をするかも知れないですね。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りんねむさん» コメントとお気遣い、ありがとうございます!一気読みお疲れさまでした!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年12月17日 14時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - 初コメ失礼致します。ここ数日で最初から一気に読んじゃいました!とっても面白いです!無理なさらぬよう、更新頑張って下さい!陰ながら応援しております!(*^^*) (2019年12月16日 18時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年11月26日 23時